田んぼの生き物図鑑
最近は本はインターネットで買う事がほとんどだ。昔は本屋さんに行くのが楽しみだったが、時間がない。田舎の本屋さんで「田んぼの生き物図鑑」農文協は買った。2度目の購入だ。前回のものが何処かに行ってしまってどうしても出てこないので、もう一度買った。もう一度買うぐらいおもしろい。「おもしろ」と言う題名だった。田んぼをつけたのは無理やり、と言う感じがするくらい。里地里山の生き物図鑑になっている。狐やタヌキや、シマヘビ、フクロウまで出てくるから、編著者の湊秋作氏の趣味本といった趣がある。小学生向きに編集されている。この本で田んぼ好きが一人でも増えて欲しいと言う思いが籠っている。田んぼに行くマナーなどと言うページまであって、畦を大切にとか、お百姓さんに挨拶しよう。などとマナーが上げられている。
小学生向きだからと言って、百姓でも知らない事がいくらでも出ている。むしろ田んぼ百姓必携と言うべきものだ。先日の、地縛りの刈り方、などという柿野氏の話も、ジシバリがあれだなとわからないと、おもしろくない。あれだろうとは思うが、花のないときに、この葉っぱだと言うのは、確かに難しい。青浮き草と、浮き草の違い。青の付くのは、まだ浮き草稼業になれていない初心者という訳ではない。青い訳でもない。両方とも黄緑色だ。根が違うそうだ。確認すると確かに舟原田んぼのものは、タダの浮き草のほうだ。雑草の繁殖を日照をさえぎり、抑える。とある。微妙なところ、大抵の農家は分結を抑制するから、雑草と見ている。春先の水の冷たい内はたいしたことはないが、温まってくると一気に増える。これが地面からフワーと浮き上がってくる。落下傘の逆の感じだ。喜んでいいのか、悲しんでいいのか微妙な所だが、田植え3週間からの日照制御には大いに役には立つ。
桑原の田字草もそうだ。絶滅危惧3類だかに入っている。単純に水田雑草と扱われてきた草だ。たかさぶろうと言うの草も、雑草だが、いまは危惧種。これがコナギや、ヒエならどうだろう。この2種が無くなれば、除草剤は無くなる。どっちがいいのか難しい。迷惑ではあるが、たぶんコナギやヒエの役割もあるのだろう。除草剤を使ってはいけない。こう言う事を農家に言う人は、田の草取りをした事のない人だ。「やってみてから言え。」やりもしないから、生き物のために除草剤は良くない、などと、平気でのたまう。自分が食べる分だけでいい。1畝だ。100平米。是非ともやってみて欲しい。考え方が変わるはずだ。それぐらい辛い。私は変わった。それで除草剤など使わない江戸時代のような農法を目指して、ひたすら努力する事にした。それが、ソバカス抑草法だ。
田んぼと言うのは実に多様で、2つとして同じ所がない。だから、ワザがなかなか技術に洗練されない。全く意外なことが幾らでも起こる。しかし、除草剤はそうではない。安定的に草を抑えることが出来る、技術化されている。必ず除草剤を使わないでも、安定的な抑草はできると思っている。それには、先ず田んぼの生き物の世界を充分に知る事。田んぼの土の中、水の中はどんな世界なのか。充分に知る事。田んぼを感じる力を、あらゆる角度から育てる事。何処に視点を向ければいいか。何がポイントか。生き物は大きな情報源である。ミジンコの盛衰を見ていれば、それだけでも田んぼの生き物世界が開けるような気がする。アチコチでかえるが少ないと言う話を聞くが、舟原田んぼには沢山居る。何故、居るのだろう。必ず原因がある。田んぼの生き物図鑑は参考になるいい本だ。