こっこ牧場の稲作

   

昨日、こっこ牧場の田んぼの籾摺りが終わった。収量は2反で、780キロだった。イモチでもち米がほぼ壊滅した中、サトジマンが頑張ってくれて、ホッとした収量だった。反収6,5俵は初めてにしては良くやったと思う。こっこ牧場は路上生活者の生活再建のNPO法人です。杉山さんという人が、命を削るように続けてきた。最初の出会いは「ダチョウ牧場」をやりたいのだけれど教えて欲しいと言う事だった。山北の奥で、飼っている人が居たので、紹介した。その方が病気で今は辞めていたと言う事で、再度話に見えた。何故ダチョウを飼いたいのかと言う事で、ゆっくり話を聞いて見ると。路上生活の人達に仕事を提供したいと言う事だった。これは大変なことだなと思った。以前、横浜駅のほうで、清掃活動をしながら、仲間が集まっている。農業分野で生計を立てられないだろうか。という相談を受けたことがあった。

その時も、鶏を飼う技術の指導は出来るが。とても経営する能力はない。と話した。農業分野に生計の場の可能性を見る人は沢山いる。テレビなどもダチョウ牧場の成功。三浦大根が1本500円など、特殊な成功例を取り上げる。そんな影響もあるのか、仕事を創出したいと考えている人達は、つい農業分野に意外な可能性があるかのように思い込みがちだ。思い込むというより、見出したいと言う事だろう。空き地はかなりあるし、あそこで、きのこ養殖をやれば、などとつい思いがちだ。もちろんやれる人がいるのだから、ダチョウだろうが、マムシの養殖だろうが、沢蟹の養殖だろうが、不可能ではない。しかし、あくまで、特殊な成功例だと言う事に気付かなければならない。

チーズ作りやワイン製造で成功している施設もよく紹介される。素晴しいことだし、確かに憧れる。その背景にある大変な蓄積や、運営能力は桁外れなものなのだろう、とついそちらのマイナス思考に私はなる。所が、杉山さんは全てプラスに考えて、やってみようと動き出してしまう。その積極性にはいつもいつも驚かされる。そうした人だから、路上生活の人をほっておけない。ダチョウは大きいから、鶏を飼って見たら、と言う事で養鶏を始めた。思い立ったら、まっしぐらだから、無料で貸してくれるという、車は入れない、悪条件の場所で始めてしまった。それが災いして、なかなか軌道に乗らない。軌道に乗らないから、次のアイデアに進む。羊牧場をやりたい。これも随分研究して、遠くまで、見学にも行ってきた。しかし、何とか思いとどまった。

杉山さんはオリーブがいいらしい。というので、オリーブを長らく考えていた。それで、近藤さんが苗木を提供してくださった。しかしオリーブが経営になるかというと、はるかなことだ。今度は麦をやりたいと言う話になった。麦を作って、乾麺をやりたい。しかし、それはそれで遠大なことで、何一つ道具もない中で、可能かどうか、第一働く人は誰なのだろう。結局、田んぼなら手伝えると言う事で、坊所の田んぼで取り組んだ。幸いなことに、Sさんという、素晴しい技術の方が現われて、田植えは滞りなく進んだが、そのごSさんは居なくなった。その後は今日まで、気を揉むことが多かった。それでも、何とか終わった。しかもそこそこの収量になった。来年どうするかは決まらないが、杉山さんは今度は菜の花をやって、菜種油をと言う事で、3反も畑を借りた。どうなることやら。

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