陰謀論の作り方。

陰謀論の時代である。高市政権が陰謀論で勝利した。台湾有事と言う陰謀論が高市現象を産んだのだろう。以前から、盛んに中国脅威論を自民党右派は主張してきた。中国が攻めてくるから、南西諸島に自衛隊基地が必要だという主張だ。
年内に尖閣諸島に中国軍が上陸するなど、盛んに中国の覇権主義が強調されてきた。それならば、何故中国と平和的な交渉を始めないのかと、思うところだが、これは国民の不安感を煽る陰謀論作戦だった。まさかこんな程度の低いデマに、日本人が流されるとは思わなかった。
しかし、多くの人から、石垣島に住んでいて大丈夫ですか。など聞かれるようになった。そして、ついに石垣島に自衛隊基地が建設された。石垣島でも中国軍が攻めてくるから、軍事基地があった方が安心だという人が,石垣島にも現われるようになった。
高市氏は総理大臣になると、台湾有事は日本の安全保障の緊急事態になる。と国会で発言して、中国の反発を誘発した。国民は一辺倒に、反中国に洗脳されてしまい。中国が攻めてくる前に、軍事強化が必要だと考えるようになった。そして選挙で過去にない、自民党勝利になった。陰謀論を使った世論操作だ。
この中国脅威の危機的状況では、高市政権を強く支持して一枚岩になるべきだ。こう考えるようになったのだろう。野党のように生ぬるいことでは日本はやられる。平和外交どころの状況ではない。早く軍事態勢を準備しろ。憲法改正をして、先制攻撃を可能にしなければ危うい。こんな妄想が膨らんでいる。
日本人ファーストの主張の中には「外国人の犯罪が増えている」といった実際と異なった主張がされている。「相続税が取れない」「国民健康保険にただ乗りしている」などの誤情報が語られる。なかなか上手に陰謀論が作られているのだ。
なぜ陰謀論は生まれるのか。陰謀論現象こそ、今の日本を現わしているものと言える。長い経済停滞。生産性の衰退。階級社会の固定化。上級国民の登場。日本人は心理的に追い込まれている。どこかに敵を作らずにはいられない心境なのだろう。
陰謀論ゲームというものがある。都市伝説ダウト「証拠より論」
- 都市伝説で“健全な懐疑心”を養う】都市伝説をでっちあげる、また疑いながら都市伝説を聞くという体験を通して、世の中の陰謀論に対して「健全な懐疑心」を育むことを目的に開発されたボードゲームです。
- 【ムー編集部が監修】「都市伝説カード」の内容は45年以上にわたり超常現象やオカルトを追い続けてきたスーパーミステリー・マガジン「ムー」の編集部が監修。遊びながら都市伝説の奥深さを知ることができます。
- 【大学との共同検証で“逆効果”が判明】陰謀論耐性を高める狙いについて、昭和女子大学・榊原良太准教授らと共同で効果検証を実施。その結果、むしろ“陰謀論を信じやすくなる”という逆効果が観測されました。このゲームを通して「論より証拠」の大切さを学んでください。
ムー編集部が作ったという所が面白い。「プラスチックストロー」という伝説カード。「トランプ大統領が紙からプラスチックに戻すべきだと主張し大統領令に署名」という実在のヒント情報から創作したのが、「紙ストローの普及を推進しているのは、発行部数が落ちて紙が余った新聞社による新たな裏の事業」という陰謀論だという、お話。
「花粉症は日本海側の地域による逆襲である」。これも面白い。東京都内の有病率が増えている事実から「大都市に比べると劣っているという感情から逆襲のためにスギを植えている」と言うような話が作られる。
陰謀論をつくる過程では、「根拠の断片的な情報が正しい」かどうかという「論点」はそれほど重要ではなく、個別の「論理的に正しいのか」という「線」で見る。細部を広げてみることで、全体を総合的に受け取るという視野を閉じる。
陰謀論は、容易に 呑 み込めない出来事を「何者かの計画によるものだ」として世界を理解し、安心しようという心理。と考えれば、陰謀論の仕組みが見えてくる。それは論理的に思考する、近代合理主義の進展に伴い、かつての宗教が担っていた役割の、一部を肩代わりするものとして陰謀論は生まれた。と言われている。
現代社会では、特定の地域に限らず陰謀論が広まっていく可能性がある。陰謀論に陥らないためには自らの判断力を過信せず、また個々の情報を 鵜 呑みにせず、意識的に自分の価値観と異なる意見や情報に触れる余裕が必要である。所が政府が国民の不安を煽れば、当然陰謀に巻き込まれる。
陰謀論とは、社会から闇が失わて、神を想定して置き換えていた部分を「陰謀」によって埋めるものだ。何か容易に呑み込めない出来事に原因や意味を求めるとき、それを説明してくれるのは、かつては「神の意志」と考えて受け入れてきた。宗教の影響力が衰退して、神は世俗的事象の説明概念をしてくれない。
陰謀論は「誰がそれを望んでいるのか。」ということで、社会の事象すべてを説明できると考えることで、社会自らが作り出す。現実を理解する理論として誤りであるが、多くの人がそのように理解すると、なるほど、そうかもしれないと思い込み生まれる。
「こんな出来事が起きたのは、世の中がこうなっているのは、明確な原因や意味があるのだ」と理解したい。つまり、私たちは世界を自分の認知できる範囲に下に置きたいと言う心理が生み出す。中国という悪者を想定することで、自分たちの追い込まれた状況を理解しようとしているのだろう。
自分にとって受け入れがたい、日本の長い停滞に対して、それがなぜそうあるのかを、自分が受け入れやすい形で合理化する。このような意味で、陰謀論は自己の不安を解消するものである。神の救いや癒やしと代替作用と言える。世界観を脅かすような出来事の意味を理解するために、宗教的機能を果たしている。
戦中の陰謀論流行は、一流国であるという自負と自尊心、それに基づいた行動の結果としての国際的摩擦、その心理を軍部が利用して、国民を誘導した。現代社会でも日本の停滞の原因を、責任を転嫁するための陰謀論的解釈に落ち込んでいる。といった点で、共通した土壌を抱えている。
典型的には、日本の文化・精神の優秀性あるいは独自性を誇示し、それが欧米の陰謀勢力によって脅かされていると説明したいという心理が社会に広がり始めている。欧米の影響を排し、それを取り戻さねばならない、日本人ファーストといった主張である。
国際協調や民主主義の価値観に対する揺り戻し、保守層に強い求心力があったアベ政権とトランプ政権の親密な関係、アベ氏の退陣に伴い、彼への不自然な期待感がトランプ氏に重ね合わされたことで、高市政権の支持の広がりが起きたのかもしれない。
また経済的・政治的な中国脅威論などが、反グローバリズム・反共産主義的な主張を受容する要因の、少なくとも一部にはなっていたのだろう。新型コロナ流行に伴う社会の不安感や先行きの見えなさに対し、陰謀論によって何らかの理屈をつけることで、受容しようとする心理が働いた。
陰謀論は日本の衰退の理由の「分からなさ」を簡単に理解するための手段のひとつである。諸悪の根源を中国の高度成長の背景には、悪い何かが存在すると思い込みたい、とする。その意味では、日本社会の陰謀論をさらに生み出す環境は、ますます増幅して行くはずである。
コンピュター革命が進行し、技術が高度化し、社会のシステムが複雑になればなるほど、世の中がどう動いているのか、見えなくなっている。分からない部分を神に理由を依存できない以上、自分の専門領域外のことは何も分からなくなる。社会がこの動きから逃れられることはまずないのだろう。
「陰謀論」という言葉は、強い否定的レッテルだということだ。他者の主張を陰謀論だと名指しすることは、その主張が聞くに値しないものだと切り捨てることを意味する。中国脅威論を陰謀論だと言い切ることで、私自身の高市氏を選択した日本人の不可思議を納得させようとしているのかも知れない。