日本国憲法に緊急事態条項はいらない。
5月3日憲法記念日にアベ氏は、コロナウイルス感染拡大における緊急事態を根拠に、憲法に緊急事態条項を入れるべきと言うことを話した。全く矛盾した話ではないか。今の法律で具体的に何か問題があるのだろうか。もし、問題があるなら、総理大臣としてこう言う点がやりにくいからと具体的に説明できるはずだ。ところが具合的な話はなかった。
日本では今や、非国民という叫びが鳴り響いている。3密になっている場所はテレビでイヤになるほど責め立てられる。まるで戦時中の大政翼賛会のたすき掛けのようだ。「ほしがりません勝つまでは。」それなら、何故通勤電車を止めろとの指摘はないのか。
この正義感は恐怖感に支配をされ、弱いものに向けられているのではないか。パチンコしている人になら、非国民と叫べると言うことなのではないか。鬱憤晴らしのように聞こえて仕方がない。感染を問題視するなら、混んだ鉄道である。
鉄道の混雑に抗議をするわけではない。政府という大きな権威に従うことで、自らも小さな権力者となれることに満足している。『コロナ自警団』のような人たちは、体制に従わない人に正義の振り回し、抑えている攻撃衝動を発散しているのだ。まさにファシズムの姿である。
アベ氏は憲法に特に問題がないのに何故、憲法を変えなければならないというのだろうか。その理由を明確に語らなければ、憲法改定の正しい発案とはいえない。アベ氏の発言はいつも観念的で、建前だけである。法律など解釈変更でどうとでもなると考えているのだ。
検事の定年延長に固執する態度の背景にあるのは、検察を思い通りに動かす意図だろう。憲法に緊急事態条項をいれ、それを根拠に内閣が法律の制限を超えて、好き勝手をしたいと言うわがままな内閣に過ぎない。これこそファシズムへの道だ。
立憲主義というものは内閣は憲法に従い、国の運営を行なわなければならないという、憲法による制限なのだ。そこに、緊急事態条項を入れて、憲法に従わないでも済む特例を入れようと言うことを望んでいるに過ぎない。平和憲法に従いたくないから緊急事態条項を入れたいと言うことだ。
もし、緊急事態条項が憲法にあれば何が起こるか。日本弁護士会によると。以下のことになる。
1,内閣が法律と同一の効力を有する政令を制定できる。
2,内閣総理大臣が財政上必要な支出その他処分を行うこと ができる。
3,内閣総理大臣が地方自治体の 長に対して必要な指示をすることができる。
4, 何人も法律の定めるところにより,当該宣言に係る事態において国民の生命, 身体及び財産を守るために行われることに関して発せられる国その他公の機関 の指示に従わなければならないこと。
5,緊急事態の宣言が 発せられた場合においては,法律の定めるところにより衆議院は解散されない ものとし,両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる 。
この5つを具体的に考えると戦時体制に入るための準備と言うことになる。日本国憲法にある平和主義を、憲法から取り除くことが出来ないので、緊急事態条項をくわえることで、超憲法的に平和主義を否定するという、憲法を一時的に無視できる憲法に変えようと言うことだ。
日本国憲法は全世界の国民に平和的生存権を認め(前文),武力による威嚇又は武力の 行使を禁止し(9条1項),戦力不保持,交戦権否認(9条2項)という徹底 した恒久平和主義を採用している。
緊急事態条項を設けないでも問題ないことは、今回のコロナ緊急事態宣言で証明されたと思う。感染症対策で、法律的に何か必要なことで、できなかったことはなかったか検証してみなければならない。法律で十分で、全く思い当たることがない。
諸外国に比べてPCR検査はできないでいる。それは世界の他の政府に比べて安倍内閣が能力がないためにできなかったので、憲法とは関係がない。マスク等医療物資が不足していた。これは安倍内閣の間違った安全保障から来ているだけで、むしろ安倍内閣の憲法精神の不足から来ている。
自粛要請というものが、日本らしいコロナ対策であった。諸外国の強制力を伴うものとはやり方は異なった。しかし、民主主義国家においては強制力を加えたとしても、人の動きはさして変わらないもののようだ。イタリアやニューヨークと中国の武漢を比べて見ると分かる。
民主主義の強さは国民一人一人が自覚して行動すると言うことにある。コロナウイルスから社会を守るのだという自覚である。他人の行動を云々するのではなく、自分が正しい行動をとれるかである。この点が不足すれば、民主主義は機能しない。
できる限り強制力ではなく、自粛要請の範囲で国民の自覚がうまれ、コロナ感染爆発が起きないようにすることが出来ることが重要である。そうでなければ、国民は独裁政治を求めることになる。それはコロナウイルス以上に怖いことになる。
国民には健康的に暮らす権利がある。この権利を守るように政府は努力しなければならない。どれほど経済が苦しくとも、医療設備や医療体制まで削るような内閣ではダメだと言うことだ。日本がPCR検査態勢が先進国で一番に遅れている。日本の安全保障が失敗していると言うことだろう。安全保障を軍事力だけだと考えるアベ政権の浅はかな考えの結果である。
次は食料である。これから続く経済の衰退傾向の中で、食糧の確保が重要になってくる。一人一人が食料自給のための体制をとるほうが安全である。なんと言っても田んぼである。田んぼが借りられるなら、小さな田んぼを始めた方がいい。
あえて説明させて貰うが、そのための本を2冊書いた。「小さな田んぼでイネ作り」に誰でも田んぼができるように書いた。田んぼはたくさん放棄されている。そこで新しい暮らしを見つけると言うことが、一番の感染症対策ではないだろうか。是非鶏を飼うといい。昔から鶏飼いは風邪ひかないと言われている。鶏の飼い方は「発酵利用の自然養鶏」に書いてある。
我田引水のようであるが、自分のことは自分で守らなくてはならない時代が近づいていると言うことだとおもう。こんな事態に憲法改定を主張するアベ政権を見ているとそう思わざるえない。