石垣人気ラーメン店が「日本人観光客お断り」

   

 
 石垣のユーグレナモールにあるラーメン屋さん日本人客の入店を拒否している「麺屋 八重山style」が「日本人観光客お断り」をはじめた。日本人観光客の態度の悪さを、腹に据えかねたのだそうだ。入ったことがなかったのは、観光客のゆく店だったからだ。良く店の前に人が並んでいた。さすがにこういうお店は日本全体でも珍しいことだろう。外国人客だけで経営できると言うことになる。さすが石垣である。
 
 秦野の中華屋さんでスーラー麺というのはどういうものですかと質問したら、そんなことは常識だろう。そんなことを知らない人間に、食べさせるわけには行かないと言われたことがある。料理人にはとても偏屈な人が居るものだ。そのまま出ようとも思ったが、その勇気もなくて、普通のラーメンでと言ってまずく食べた。秦野の中華屋はその後前を通ったら止めていた。石垣のお店はどうなるだろうか。
 
 昔本土では「朝鮮人、琉球人お断り」の張り紙があったと言うから、その逆のことが起きているわけだ。この歴史を意識してやっているのかもしれない。これは日本人差別と言うべきなのだろうか。差別主義者と言うことでもないのだが、問題にならないといいのだが。
 
 そもそも石垣に来て、ラーメンを食べる観光客というのはどんなかな。石垣市ラーメン禁止条例というわけにも行かない。石垣では一度もラーメンは食べたことが無い。小田原に居ればラーメンでも食べるかというのは、年に1、2度くらいはある。しかし、石垣に来てまでラーメンを食べるというのは、どこか異質である。実はこのお店には八重山そばもある。
 
 観光客が何を食べようがかまわないのかもしれない。おかげで石垣の経済は順調である。農業も順調である。ありがたいことだとおもうが、観光に石垣に来たのだから、八重山そばというものがどんなものか食べてみた方がいいのではないか。そもそも八重山そばというのは、そばではなくラーメンの一種なのだから。
 
 沖縄本島ではラーメン屋が増えた。ラーメンチェーン店も展開しはじめた。今や、沖縄そばが劣勢では無いだろうか。かろうじてまだ大丈夫だと思っていた石垣島でも、ラーメンの勢いが増している。新規開店も目立っている。こうなったら、意地でも石垣ではラーメンは食べないぞ。日本人観光客ではないけれど。
 
 不思議なもので、だんだんソーキそばのおいしさにはまっている。最初は八重山そばの麺がダメだった。あの太麺と、腰のなさが、何を好んでこんな麺を作ったのか。怒りに近いものさえあった。それなら八重山うどんということで、鹹水を入れなければいいのにと思っていた。山梨生まれで、.石垣に来ても時々手打ちのおほうとうを作っている。
 
 ところが、粘り強く八重山そばを食べている内にこの味に慣れた。慣れれば八重山そばは八重山そばの良さがあることが理解できた。昔からどんな美味しくないと思うものでも、3回食べてみなければ分からないと決めている。
 
 フランスで牛の脳みそ料理が出たときは、最初生臭さでダメだった。ところが3回目にはいけるようになった。食べ物などそういうものだと思っている。だから石垣に来たら、八重山そばを3回は食べて貰いたい。それでもダメなら、日本人も入れるラーメン屋にすればいい。ただし、礼儀正しくして貰わないと、そこも日本人観光客お断りになっても困る。
 
 おいしん坊、仲良し食堂、アグリカフェ、これが私のソーキそばベストスリーである。ここを巡り歩いた上でダメなら、ラーメン屋に行けばいい。石垣に戻り、書いている内にソーキそばを食べに行きたくなっている。
 
 日本人観光客お断りの意味は、もう少し奥があると思っている。今、石垣を訪れる中国人、台湾人、韓国人観光客はマナーがいいのだ。少なくとも日本人観光客よりは紳士的である。昔パリでひんしゅくを買っていた中国人観光客は今いずこである。大声で叫び合うような人はまず居ない。石垣の町で出会ってもごく当たり前の人たちである。
 
 外国人観光客を重視して経営していった方がお店としていいと言うこともあるのでは無いか。推測では、日本人観光客がいると外国人観光客は、その空気が気分が良くない可能性がある。身勝手な態度から、差別の空気を感じるのかもしれない。
 
 旅の恥はかきすてでは無いが、日本の観光は昔から馬鹿を市に出かける。知らない土地で羽を伸ばすという風習。それだけ地域に縛られて生きていた日本人のしっぽ。今でも会社に縛れて抑圧されているのでは無いだろうか。そう思って我慢するのもひとつ。
 
 
 
 

 - 石垣島