石垣島には景観条例がある
石垣島には景観条例がある。特に自然環境の残されている景勝地には、建物の高さ制限の条例がある。石垣島の中でも世界一美しいといわれる場所が、川平湾である。石垣市の市街地が太平洋側だ。反対側の南シナ海側にある静かな入り江である。この場所が類まれに美しい場所だという事は、誰もが認めることだろう。先日のテレビでは世界からの観光客が日本で何度でも行きたい場所として選んでいた。南の海のただただ美しい場所である。まあ私は川平湾は絵を描いたことがない。あまりに美しいので絵にも描けない。という訳ではない。田んぼがないからである。そいう場所を描きたいと魅かれないからだ。私の絵を石垣島の人に見てもらうと、大抵はカピラですか。と言われる。私の絵はどことも分からないような絵なので、誰もがカピラを美しい場所として、描くだろうと思っている。そのカピラに巨大リゾートホテル計画が進んでいる。
世界一のホテルチェーンのアメリカ資本のマリオットホテル建築開発計画が進められている。マリオットリゾート&スパ客室約380室。アジア最大級のプール、東京ドーム約2倍程の敷地面積を持つホテル計画。石垣市はこのホテルの高層化が可能になるように、景観条例の変更を行おうとしている。果たしてこの選択は正しいものであろうか。私は住民が決めることだと思っている。川平の方々が、それが良いというのであれば、それでよい選択なのであろう。外部のものがあれこれ意見を言うのは差し控えた方がいいと思っている。ところが川平の方々が、この景観条例の変更手続きをめぐり、行政処分の差し止め請求訴訟を起こした。声明では「その条例の変更の内容が市に都合が悪いので、市民が目に触れる前に景観形成審議会と都市計画審議会を終わらせようという意図がみえてくる」と疑問視。「審議会に資料を提供し、公正な審議と判断を求める責任は市にある。市はあまりにも性急すぎる。一歩立ち止まる必要がある」このような意見が、地元から出てくるというのはどういう事だろうか。
余りに当たり前のことだが、石垣市の行政は地域住民とどのような地域にしたいかを話さなければならない。地域住民にも様々な考えがあるはずだ。世界一のホテルが来ることを歓迎する人もいるだろう。あるいは、この素晴らしい景観こそ、世界一の観光地になった宝である。この景観をわずかなりとも変更を許さず、守ることこそ価値があると考える人もいるだろう。あるいは、一定の歯止めの中で、可能なホテルであればいいのでないかという人もいることだろう。地域に暮らす人たちが自由に議論を徹底して行う。行政はその材料として情報を提供する。そして石垣全体で、決めることが大切なことになる。何故、石垣市行政が、住民の意向を確かめずに、一方的に景観条例を変えて、高層ホテルの建設が可能になる計画を決めてしまうのだろうか。このやり方は禍根を残すことになる。自衛隊のミサイル基地問題でも同様な進め方である。ミサイル基地予定地区の住民とは話し合いすら行わない。問題はこの進め方にある。
自衛隊でも、観光開発でも、賛成もあれば反対もある。その対立を行政が煽るようなことはあまりに稚拙ではないか。川平の住民の方々は、この景観を守るために、農地法を利用したそうだ。この地域全体を農振農用地指定をしたそうだ。その為に家を建てられる地区が極めて限定された。それでリゾート開発の波を一定の範囲で押し返したらしい。この先見の明は素晴らしいものがある。今リーゾート開発の結果無残な姿をさらしている地域は結構ある。荒れ果てた別荘地は日本全国にあることだろう。こうしたところが中国の富裕層が買い叩く。というテレビを見たことがある。石垣も中国は近い。世界の観光地として注目を浴びている。中国富裕層が投資先として選べば、中国との衝突が避けられると、中山市長は考えているのだろうか。しかし、それなら、ミサイル基地の誘致の方はどういう事だろう。