北朝鮮の外交力

   

北朝鮮の外交力は優れている。北朝鮮の独裁政権を評価してのことではないが。日本政府の愚かな対応に比べて実に巧みである。アベ政権は北朝鮮が、経済封鎖に耐えかねてやっと交渉の窓口を開いたなどと、とぼけた感想を述べて、世界に無能ぶりをさらしている。河野太郎氏は外務大臣になり、全く腑抜けに変貌してしまった。人間欲に駆られると、頭もボケてしまうもののようだ。これほど外交音痴の政府には情けない。北朝鮮が飢餓寸前で、今にも崩壊するという分析を一貫して発表していた日本政府である。全くとんでもない読み違えで、その間に核ミサイル開発をする力すらあったのだ。北朝鮮がそれほどの疲弊のはずがないという事は、このブログに何度も指摘してきたところだ。北朝鮮は予定通り、アメリカとの2国間交渉を勝ち得たのだ。北朝鮮は6ヶ国会議のころから繰り返しアメリカと直接交渉をさせろと言い続けてきた。それをアメリカをはじめ、5か国が拒否していた。北朝鮮の思惑通りに進んでいるだけである。北朝鮮はすでに、何を交渉するかは表明している。朝鮮半島の非核化である。それは非武装化といえるのだろう。南北統一。こういう建前からの朝鮮半島からのアメリカ排除である。中国政府ともそのことで事前に同意をした。当たり前であろう。それは以前から中国の主張するところである。

トランプは何しろ、韓国の米軍も日本の米軍も、金を出さないなら引き上げるという主張である。そういえば金を出すだろうという判断なのだろうが、韓国についていえば、今回アメリカに帰ってもらおうという主張に、転換する可能性もないとは言えない。韓国の中国接近はそういう、方向転換も含んでいる。どちらが得かといえば、必ずしもアメリカとは言えなくなってきている。世界を敵に回すトランプにくっ付いてゆくだけでは、日本の安全保障も経済政策もない。お金だけがトランプの本音である。国の尊厳とか、独立国家の意味は経済とは別物である。お金の面から見ればアメリカと北朝鮮の交渉は今回話が付く可能性が出てきている。つまりアメリカは韓国から引き上げるので、北朝鮮も核開発は止めろ。まあ、アメリカまで届かない程度なら大目に見ようではないか。こんな裏取引位、トランプはやりかねない。日本政府はいつまでも、近隣諸国を仮想敵国にするというような古臭い手法では、行き詰まることになる。もう行き詰ってきているのか。

いよいよ日本の性根が問われることになる。アメリカの手下として、ゴルフ外交を続けるにしても、アメリカに対してどんな恩恵を与えられるかだけの裏取引になる。それでもアメリカについてゆくべきなのか。アジアで新しい経済圏を模索すべきなのかである。私はアジアの新しい対等な枠組みの模索の方が、アメリカ追随よりは未来の展望があると思う。その意味でアメリカを排除したTPPに中国を加えるという戦略もあるはずだ。世界は自国主義の台頭で変化を始めている。アベ政権のアメリカ一辺倒、中国敵視政策も、いい加減うんざりの外交音痴に過ぎない。トランプと渡り合うためには、日本は日本なりの方向を持つ必要があるのだ。今のアベ政権のやり方は、アメリカに頼る以外、日本の道はないのです。という弱みをさらけ出しているだけだ。北朝鮮は実に巧みに、アメリカを引き出した。そして中国とも和解をした。小国といえども巧みな外交戦略で、立場を維持しようとしている。それは確かに核ミサイルという武力がものを言っているのだが、外交というものはそれだけではないだろう。あの融和ムードを高める音楽外交などもなかなかやるものだ。昔の琉球王国の平和外交を思い起こした。

中国とアメリカの関係も経済戦争がどんな展開を見せるかに争点は移る。私は意外な米中の和解に進むとみている。拝金主義は損得の判断で動くだけだからだ。日本は日本の平和外交戦略を持つ必要がある。武力だけが外交ではない。憲法でも示すように、国際紛争を平和的に解決する手段を見つけることが日本の役割だろう。その為には、相手国の悪いところを言い募るようなことは止めなければならない。石垣の中山市長は、アベ政権の中国敵視政策に押されたのか、中国の習政権を汚く誹謗してしまった。よくある右翼言葉である。それが海外の報道で話題にされてしまった。こんな発言を市長がして、何の良いこともない。平和の道を探るべき人が、相手を罵倒する原因は、悪口を言う事で対立を煽り、石垣島の軍備を強化したいという愚かな思惑だけだ。調子に乗って相手をののしることで、長年の平和外交を一夜にして無駄にしてしまう、最低の発言である。

 

 

 - Peace Cafe