稲作出穂期、葉色による分析

   

葉色板 カラースケール (渡部さんの写真)右上の計測器がデジタル式。

色は私のパソコンではほぼだが色が正しい。葉色番4は若竹の色という事だと教わったが、若竹にも色の幅はかなりある。欠ノ上田んぼの稲は5になっているところがある。色については絵を描いてきたので、大体見ればわかるつもりだ。デジタル方式で一枚の葉に充ててみる見方もある。これだと4,2とか出た。しかし全体で見た方が良いと思う。田んぼ一枚一枚色は違う。その違う理由をあれこれ考えてみると、稲の生育状態が、見えてくることがある。田んぼのムラと緑肥の育ちが関係していたり、藁が漉き込まれたところが、色が浅くなったり、何故か成育の良く早く黄色くなるところが畔際であったり。1本の木が日陰を作り、日照の影響で色の浅いところもある。水温が低ければだいたい色は濃い。下の写真の3番田んぼは苗代であった。黄色っぽい4以下の部分は、苗代の通路で、早く代かきをしなかった部分である。ともかく色が浅いという事は多様な原因がある。その原因を知ることが稲の生理と土壌を知る手掛かりになる。

苗代の田んぼ3番である。苗代の為にそばかすを蒔いた筋が色の濃い場所だ。色の黄色い筋の部分は、歩きやすいように代掻きをしなかった場所だ。田植えより、6週間前に蒔いたそばかすだから、15週経過しても葉色として影響が残っている。濃い場所が5で黄色いところが3と見ればいいだろう。田植え9週目としてはかなり濃い方ではないだろうか。

9週目に葉色を見るとは、田んぼの中での葉色のムラである。田んぼの淵付近が早く色が薄くなる傾向がある。そして背丈は高い。これは生育が早いためと考えた方が良い。緑肥が多く育ったところは濃いままのことがある。これはチッソが多いいのかもしれない。そば糠などを多く蒔いたところが、濃くなっていることもある。土壌の中の様子を推測材料が葉色の変化である。色が薄い時には、肥料不足もあれば、生育が他よりも進んでいる為色がさめてきていることもある。色の変化の原因を知ることが、稲の生育を知る手掛かりになる。

一般的な農法の稲作では葉色を見ながら穂肥の追肥を調整する。最高分げつ期頃、追肥をする。最高分げつ期は出穂30日前の頃で、葉の色がカラースケールで4以下であれば、穂肥が与えられる稲と判断する。葉色は出穂40日前に一番濃くなり、徐々に色が浅くなってゆくのが慣行農法の稲の葉色の変化である。有機農法あるいは無農薬の稲は一般に葉色は40日前より、30日前の方が濃いぐらいになる。現在出穂20日前でこの濃さである。そして出穂の頃でも葉の色はある程度濃さを残している。私にはこの理由がまだよく分かっていない。

7月28日の早朝の田んぼずいぶん色が違う。29日には8番の色が少し濃くなった。

先日、農業技術センターの岡野技官から窒素が多いいからだと教えられた。確かに窒素の供給があるから、光合成も盛んにおこなわれ葉色も濃くなるのだろう。しかし無肥料のかなり窒素不足の稲であっても葉色は濃いままである。その理由は土壌の窒素分の残留だけでは説明できないことと考えた方が良い気がするのだ。例えば根が広く深く張っていて、しかも根が健全で肥料吸収力の高い根圏が広いためという事も考えられる。もし単純に窒素量で考えてしまうと、土壌内部の世界で起きていることのつじつまが合わなくなる。何故土壌の窒素分の少ない自然農法の無肥料稲作の稲の葉色が後半に入り色がさめない状態で濃いままなのかは、説明できないことになる。私の仮説では1、根の活力の大きさが違っている。2、土壌微生物の活動によって、土壌が灌水状態でも活性化されている。3、光合成能力が高い大きく厚い葉が出来ているために、葉色は下がらない。4、根が広く、深く広がり、根圏が広い。

手前が一番色が黄ばんできた8番の田んぼ。穂肥を入れてみた。1週目で黄ばみが止まった気がする。奥は12番のもち米の田んぼで色むらが大きい。初めての田んぼで緑肥はない。多めにそばかすを入れたのだが、そばかすの撒きムラが出ていると思われる。

葉色の分析を理解できている訳ではない。今わかっていることは出穂の時期も葉色が濃いという事だけである。そして一般には穂肥を必要としないという事になる。一度も穂肥を与えたことはないが、(今年実験で2か所に入れてみた。)秋落ちの稲にはならない。穂は100粒以上の大きなものになる。粒張りも十分ある。そして畝取りの稲になる。今までの私のやり方の自然農法では、分げつの取り方の問題があった。田植え直後に肥料が利かないのだ。むしろ田植え直後藁の分解に窒素分をとられてしまい、分げつが遅れる。今年はそれが解決できる見通しが立った。2つの方法がある。2度代かきである。苗代を作る際に田んぼ全体をそばかす撒き、アラオコシ、代掻きとしてしまう。ソバカスは稲刈り後の藁をまき散らし、その上から蒔いてある。緑肥は藁の間から発芽することになる。土壌は耕す場合も、耕さない場合もある。緑肥を漉き込む場合、初期の土壌窒素がその緑肥の分解に取られてしまう事がある。それで藁は必ず堆肥化して戻すこと。

緑肥が生である方が分解しやすい。但し、生の緑肥の分解は土壌が十分発酵型になっていない時には腐敗方向になってしまう。発酵型の土壌であれば、ソバカスと生緑肥が即座に発酵を始める。そして雑草を抑えトロトロ層を形成する。土壌はこの時匂いを発する。このドブのような微妙な臭いを嗅ぎ分けなければならない。腐敗であるか。自分の望む発酵であるかだ。発酵型の土壌になり、うまく調整ができるようになれば、生の緑肥を漉き込むことができる。来年は苗代を作るときに、全部の田んぼをアラオコと軽い代掻きとしてしまおうと思う。その時にそばかすを十分に入れる。そして、田植え前にもう一度代掻きをする。田植え後にそばかすを少し撒く。その量は緑肥の生育状態によって変える。

 

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