韓国でのフェリー沈没事故

   

塩山桃源郷 10号 今が塩山は素晴らしい。

韓国で修学旅行の高校生を沢山載せた、フェリーが沈没した。一週間経過したが、事故の詳細が日本でも連日報道されている。あまりに可哀そうで見るに堪えないこ記事ばかりだ。確かに、韓国のフェリー会社はひどいし、救助の遅れも困りものだ。しかし、それをあげつらって得意げな、日本の報道はひどすぎないか。以前から韓国について指摘してきたように、韓国で起こる不幸は、必ず日本でも辿る可能性が高いと考えておかなければならない。他人事ではないのだ。経済至上主義の行き着く先がどういうものになるかは分りきったことだ。安全が軽視され、経済が優先される。日本では、JR北海道のあまりに目に余る安全確保が、明るみに出た。脱線事故が起こって、線路の幅の確認がされていなかったことが分った。しかも、その安全確認の点検報告が、偽装されていたというひどさである。あの脱線事故で人的被害がなかったことは幸運に過ぎない。中国で日本向けの冷凍餃子に、会社内の不満分子が農薬の混入を行った。やっぱり中国の労働条件のひどさはこういう事件を生むと思った人が多かったと思う。ところが日本のマルハニチロという大手の冷凍食品の工場で、契約社員がやはり農薬の混入の犯罪を行った。

いずれの日本の事件も、喉元を過ぎて忘れ去られてゆくが、実情が変わった訳ではない。むしろ、社会の格差は広がっているし、安全より経済優先の社会により成ってきていることは、自覚しておく必要がある。その一番が、原子力発電所の再稼働の問題だ。安倍政権の原子力発電所の再稼働の根拠は、経済的に有利であるということだ。その実情は、安全対策を十分にやらないで、耐用年数の40年も軽んじて、核廃棄物を発電所の中のプールに、いつまでも積み上げて於いて、というような経済優先で行けば、他の発電方法より、安価なベースロード電源である。というような訳の全く不明な根拠なのだ。本当に安い電源であるというなら、先ず核廃棄物の処理方法はどういうやり方で、幾らになるのか、示す必要がある。そういうことは次世代がやればいいというのでは、日本の未来はとんでもないことになる。

韓国は北朝鮮との国家分裂という深刻な、対立を抱えている。深刻な背景から、すべてに経済を優先して、世界の経済競争に勝とうとしているのだろう。フェリーに関して安全対策に、これほど手抜きや欺瞞が行われているということは、利益を何より優先しているからである。しかも、船長が正規社員でなかった。細部を聞けば聞くほど、あきれ果てるのだが、翻って日本のことが心配になってきた。日本はあれほどの原発事故を経験した。にもかかわらず、喉もと過ぎて、安い電源だけにとらわれて再稼働に向かう。安全については、実は限界がない。結局個人の暮らしの日々でも、安全はそれぞれの妥協の産物である。この範囲ならまあ大丈夫だろう、ここまで行けば危険だ。農作業に於いても、そういうことはよくある。しかし、これが経済の中で考えると、農業だって安全が軽視される可能性が高くなる。農薬や、遺伝子組み換えは、そういう方向だ。また熊本で、鳥インフルエンザの感染があったのだが、早速、神奈川県警では、養鶏場を警察官が回っている。何を聞いて歩いているのか知らないが、防疫の知識が全くない人間が、次々の養鶏場を歩き回るなど、無知が危険を増幅しているにすぎない。

養鶏業が安全に行われるためには、経済優先ではだめなのだ。今まで感染が起きた養鶏場は、大規模なウインドレス鶏舎の所だけだ。こう言うと、以前、例外的に趣味で飼っていた肥後チャボが感染したと、特殊な事例を持ち出す人もいる。が、これはまた別の要因である。話が広がり過ぎたが、韓国のフェリー事故は、必ず日本の未来を暗示しているということだ。JR北海道がどこまで改善出来ているのか、繰り返し事故を起こす、小さなバス会社の仕組みは見直さないで大丈夫なのか。笹子トンネルの崩落事故後、全国での似たような、コンクリートの劣化個所が指摘された。充分に直しているとは思えない。儲からない安全対策が、国際競争優先の中で、軽んじられるということは、日本にも目に余るほどあることだ。ともかく原発事故を思い起こし、安全神話を作らないことだ。原発事故がもう一度起きれば、日本は終わりだという覚悟で、やらなければならないことだ。

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