原子力規制委員会の本音
原子力規制委員会では、放射能の拡散予測を出した。拡散予測と言っても地形の変化などは考慮に入れていないという、実に大雑把で適当なものである。資料を該当する行政に対しての直接の説明も無く、原発周辺自治体に送りつけただけ。驚くべき委員会である。そして今度はその内容に、6か所の原発で間違いがあったと言う。当初からダメな規制委員会であるとは思っていたが、科学が最も重視しなければならない、正確性においても低い意識の組織である。その上に、田中委員長の謝罪会見では、「政府にせかされたために、確認をせず公表した、」と弁解をしていた。就任のあいさつでは自分達の仕事で、信頼を勝ち取る、やることを見ていて欲しいと主張していた。このデーターが間違いであることは、電力会社から指摘があり気が付いたと言うから、どうにもならない。何の目的で政府が急いだのか。このタイミングでさしたる意味の無い拡散予測を出したのだろうか。
規制員会が出したシュミュレーションは、原発再開の根回しである。安全神話の再構築である。福島第1の事故で、静岡県の農産物が出荷停止に成っているのだ。放射能の農産物への影響と言う事では、今回のシュミュレーションに0を一つ足す。300キロ圏まで、農業には影響が出ると言うこと。今度事故があれば、もう日本の農業は駄目だと思う。ただでさえ元気の無い農業の最後のダメ押しに成る。日本の農産物の国際競争力に与えた影響は計り知れない。日本の農産物が中国で売れていたのは、安全な水で作られたというイメージである。チェルノブイリ産の農産物をわざわざ買う人は少ない。ここでのシュミュレーションは、年の平均的な風向きである。事故の際の気象条件はまるで異なる。原発を再開しないとしても、どの原発でもプールに核廃棄物は満杯である。あらゆる気象を予測して、40キロ圏内は避難訓練をして置くと言う方が、現実的だろう。もちろんそうした準備費用も原子力発電のコストのひとつである。
規制委員会が今回杜撰な拡散予測を慌てて出した理由。これは原発のコントロール可能のイメージづくりである。事故が起きたとしても30キロ圏ぐらいで、後は大丈夫という安全神話の再構築の政府の意図を汲んでのことである。もしそうでないなら、福島原発事故の広範囲の影響の実態を出すべきだ。規制委員会と言いながら、原発再稼働の為の委員会である。再稼働を前提にして、どのよう国民に安全の神話を広げられるかを仕事としているとしか思えない。放射能は安全なものだという、慣れが起きている。チェルノブイリにも人が戻って住んでいる。等怖ろしい発言がある。確かにすぐ死ぬわけではない。しかも、影響のある人がいるかもしれないと言うだけである。日本経済の競争の為には、放射能程度のリスクの覚悟が必要なのだ。たかが、ガンが増加し、平均寿命が1年下がる位いだろう。と言うのが経済の論理ではなかろうか。まさか政府の本音がここにあるとは思いたくない。
いずれにしても、原発事故が日本経済に与えた影響は、石油をはじめとした燃料輸入の増加である。この輸入エネルギーコストが日本経済の足かせに成っているのは現実である。日本はこの条件下での経済性を考えて見る以外に道が無いということ。原発を再開した場合の本当のコストを考えて見る必要がある。災害多発地帯での安全対策や核廃棄物の処理場の適地の困難コスト。核燃料再処理施設の開発研究の進まない費用まですべてを上乗せして、電力コストを考えること。将来システムが完成すれば別かもしれないが、原子力全体の循環しうるシステムの構築は無限ともいえる。電気料金に含めば、とんでも無く高い価格に成るはずである。何を選択しようが、日本のエネルギーコストは極めて高いものに付くはずだ。原発を再稼働させれば、電力は安いはずと言う経済界の希望は、全く根拠のないものだと自覚しなくてはならない。これは日本の環境条件。嘆いても始まらない。同じ高いものに付くなら、自然エネルギー技術に可能性を見るべきだろう。
昨日の自給作業:タマネギのベット作り2時間 累計時間:2時間