8月の農作業
ことしも暑い夏である。大窪へゆく道の桑畑、延々と続いた草取り。まばゆい光と、土のにおい。あの桑畑も今はない。桑畑は御蚕さんに上げるために作っていた。広いお寺の部屋を3部屋ぶち抜いて、御蚕さんを飼い始める。大切な大切な種の紙を頂いてきて、ご仏壇に上げる。卵をうみつけてある紙。御蚕様と呼ばないと厳しく怒られた。御蚕様の御蔭で、暮らしていけるのだ。尊敬し敬わないようでは、とんでもないことだ口説いていた。祖母は生き物が好きだった。育てるのも上手だった。ついて回る私に、色々大切なことを教えてくれた。祖母は生き物のことになると、生き生きと本領を発揮していた。なにしろ御蚕さんの作った糸で、機織りをしていた。嫁入り道具が機織り機だった。山梨の山の中では、まだ私記憶のある時代でも、そう言う事が普通の暮らしであった。戦後のもののない時代に、また自給自足に近い暮らしに戻っていたのかもしれない。
夏の畑は豊富である。雑草に埋もれながらも、様々な野菜が生きている。なかなか赤くならないトマト。ちびちびある大豆の枝豆。長く食べているトウモロコシ。ウリハ虫にやられたキュウリ。草負けしたナス、これから取れそうな所が、オクラ、ピーマン、シシトウ。これから良くなるのが、サトイモ、ヤマイモ、ゴボウ。残したインゲンももうだめか。こんにゃく、生姜、みょうが、かぼちゃ、冬瓜、ズッキーニ。取れ過ぎたり、取れなかったり。いろいろだが少しでも採れれば満足していただいている。今苗を作っているのが、地這いキュウリとキャベツ。キャベツは暑い盛りを除けば、年間を通して、夏を除けば食べることが出来る。キューりも秋の終わりまで取れる。鳩麦は草の中から、負けずと伸びてきている。分げつもしている。それでも数珠玉に比べると勢いの弱いものだ。斜面に残して管理しているふきが、案外美味しく食べられた。
8月は田んぼの作業は一段落である。周囲の草刈りをするくらいである。草取りも出来るだけ7月中に終わらせる。その意味でも、ヒエを出さないことは重要。幸い今年もヒエは出ていない。7月末から8月にかけて干し田をしている。今年は土を固めながらの管理を目標にしているので、この後はさらに辛目の水管理をする。棚田では、干したとたんに水持ちが悪くなる。水管理の手間は増えるが、ここは根気よくやる。稲の葉の色が、どこまで濃くなり、どのタイミングで色がさめて行くのか。今年はこの事を良く観察したい。葉色が増すのは、窒素肥料が効いてきたと普通言われるが、何故か、自然農法の田んぼでは葉の色は他より濃い。この理由を確認したい。窒素肥料が遅くなって発現するのかと思っていたが、どうもそれだけでなく。光合成の関係や根の活力を反映している可能性。追肥の窒素肥料が効いて葉色が濃くなる現象と見た目似ているが、生態的には違う現象ではないのか。
今年は家の周りの草刈りが遅れている。今日にでもやればいいのだが、無理をすることは止めにしている。雨が降るようなら少しやる。熱中症で倒れる人の話を聞くし、体調が悪い。草がはびこり大変ではあるが、少し目をつぶり我慢している。それでも田んぼの草刈りだけはやらないとならない。借りている土地の管理は、自分のところが草だらけでもやらなくてはならない。果樹がぶるーべりーがやっと色づいてきた。キウイが少しなっている。柿は良く実っている。栗も良いようだ。桃は今年は全く駄目。去年は桃酒を作るほどだったのに、何故なのかよく分からない。竹藪も又中には入れないように、荒れてきている。少しづつでもやることにしよう。