豚インフルエンザの教訓
5月6日、ATTACフランスとフランス農民同盟が、「新インフルエンザの根本原因は工業化された巨大畜産にある」という共同声明を出している。豚インフルエンザの発生地域と特定されているのは、メキシコ東部ベラクルス州の小村、人口3000のラグロリアである。ここには、世界最大の養豚業者スミスフィールド・フーズが運営する大養豚場があり、年間に100万頭が飼育されている。不確かな情報だけで何かを書くことは、良いことと言えないことではあるが、豚インフルエンザに関して、今後の対応と言う意味で、肝心なことに一向に目が行かないので、想像を交えてではあるが、今回の騒動からの教訓をもう一度書いておく。今回の病気は大規模養豚場で発生したことは、状況証拠から異論を挟む余地がない。ところが、そこに目が向かないように全てが進められてきた、と思われる。グローバル企業とWHOの関係。
3000人の村の傍に、200万人分の排泄物規模の都市が存在していると考えなければならない。以前から、糞尿公害の告発と言う形で抗議は続けられていたが、無視されていたようだ。何故メキシコにあるかといえば、監視が甘いからであろう。弱い所に迷惑施設は流れる。養豚場に対して抗議する住民が逮捕されるような、状況があったようだ。スミスフィールド社はアメリカ大手であり、世界最大級の食肉業者である。豚インフルエンザを新型の名称に変えたのも、スミスフィールド社による、オバマ大統領発言への抗議が発端と言うぐらい力がある。日本ではBSE汚染牛の輸出問題で、何度も名前を目にした。日本ではこのことを発言する、厚生省、農水省関係者など居ない。報道もこの点には目を向けようとしないが。問題の根は巨大畜産にある。現在は、アメリカ資本の問題であるが、将来は中国の巨大畜産が問題化するであろう。肉を安く食べる為に、人類は大きなリスクをかかえた。
今回の豚インフルエンザのフェーズ6は、大きな予行演習であった。1、現在の医療体制、厚労省の体制が全く機能しない。2、水際作戦は機能しない。3、ワクチンによる防御は出来ない。次回起きた時に、今回の反省を活かさなければならないが、現状の厚生省の対応では、何も解決に向けて動き出した様子がない。今更ながら、ワクチンを作るなど、場違いなことだけを発表している。結論としては原因を絶たない限り、強毒のウイルスの感染が起きた時には、防ぎようがないという事がわかった。緊急に取らなければならない方策は、大規模畜産の禁止。EUではケージ飼いの養鶏はもうすぐ全面禁止になる。それが世界の趨勢であることすら、理解しないのが、日本の畜産業界の状況である。養鶏業を行うものとして、恥ずかしいし、申し訳もない。家畜保健所は全く無意味に養鶏場に消毒薬やら、石灰を無理やり配っている。私は絶対に受け取らない。
1、鳥インフルエンザが一番広がっている、インドネシアの状態。2、豚インフルエンザを起こしたメキシコでの状態。3、全てを淘汰すると言うエジプトの状態。これを調査する所からはじめる。豚に強毒のウイルスが存在していないか。各国の利害があるから、日本単独にはできないであろう。WHOの仕事である。日本が費用を提供し、充分な学術調査を要求する。スタッフが必要なら、日本から出す。問題が起きるのは、仕方がないことだろう。それへの対応、又そこからの学習が重要となる。今回の豚発インフルエンザは人類が試されている。やろうと思えばエジプトのようなことも可能。肉などめったに食べないでも、我慢すれば済むことだ。農業多国籍企業は何も良いことはない。グローバリズムによって世界の食糧生産、地域の農業が侵食されている。大資本と癒着しているとしか思えない、WHOの行動。