南京市鳥インフルエンザの経過
今年、中国の鎮江市に行って、鳥インフルエンザの実験をしているのが、中国だと実感した。同じ江蘇省の南京市で、人人感染が起きたようだ。報道がされている。11月24日、南京市の24才の男性が発熱し、11月27日に、左下肺炎で入院したところ、急激に症状が悪化し、12月2日に死亡した。中国衛生当局の検査でもH5N1感染が確認された。ところが、この死亡した24才の男性の父親である陸偉さん52才が、12月3日の晩に発熱し、肺炎で南京市第二醫院に入院した。12月6日の中国当局の検査でも、H5N1が検出された。その後の報道を待っていたが、感染の広がりはなく、濃厚接触者の観察も解除された。これが本当に人人感染かは、不明のままだが、病気をされた方には申し訳ないが、鳥インフルエンザが、どのような病気であるかの一端は見える。死ぬのはいつも若い人だ。免疫の問題だと思う。
「人人感染は常にありえるが、大流行するようなタイプの病気ではない。」これが私の見方だ。インドネシアは中国以上の蔓延状態にある。昨年の死者合計が75名今年は45名。世界全体でも、今年は減少に向かっている。いままでの感染者総数が340人で、死亡者数が208人となっている。この病気を意図的に大げさに流そうと言う、力が働いていることに注意する必要が在る。一つは、国外にいる中国反政府運動家。もう一つは製薬会社とそれに関係する、日本の厚生省および、WHO関係者。全ては推測的発言だが、一応はその可能性を疑っておいた方が、正確に状況判断が出来る。中国反政府運動には、宗教的なものと、政治的なものがあるが、中国政府の発表は疑わしいと、早速発言している。確かに疑わしいのかもしれないが、嘘である証拠もない。WHOは人人感染が起きたと判断し、その場合の大流行の危機の方を強調している。呼応するように厚生省は、一貫してインフルエンザワクチンの生産体制の強化と、タミフルの備蓄を行う、図式。
現代人の病気に対する恐怖感。ここを衝いて煽る。何でも抗菌グッズにすれば売れるという様な、日本人のおかしな衛生観念が背景にある。洗脳されてしまったともいえる。すでに、タミフルの備蓄に疑問を挟める空気ではなくなっている。日本での、養鶏に対するワクチンの強制すら遠くない気がする。この病気は少なくとも現状では、何もなく消え去る可能性の方がはるかに大きい。毎年今頃になると、朝鮮半島では発生が伝えられ、日本への波及が起こる。今年が山場だと思う、もしこの冬の発生がなければ、この地域では収まる可能性が高い。現状においてはすでに、問題核心部分は野鳥の中で起きていることだ。大規模薬漬け養鶏場で起きた、ウイルスの変異が発端であった可能性は高いが、その後はこれが野鳥に広がり、感染と免疫が計られているはずだ。これが何処で収束するか、時間が掛かると思う。もう養鶏場の中の問題ではないのだ。
中国では、鶏は日本的な観点で言えば、大半の小規模養鶏場や農家の庭先養鶏は野放し状態だ。それでいいはずだ。それであっても感染はきわめて限定的なものだ。大規模の養鶏場では、2005年から政府の責任でワクチンが接種された。所がワクチンはまだ完全な段階ではない。同時に不法ワクチンも出回っているらしい。不活化ワクチンは、(1)一定期間発症と死亡を防ぐことが可能で、(2)ウイルスの増殖及び排泄ウイルス量を減少させる効果はあるが、感染及び排泄を阻止することはできない、あるいは阻止可能期間が5ヶ月以下、であると言える。(3)遺伝子組み換え生ワクチンについてはその効果、強弱が異なるが、やはり完全なものではない。また、遺伝子組み換えのため、使用が規制されている。と言うのが衛生研の考えだ。