遠のく財政再建

   



 政治に多くは期待しないことにした。それでも財政再建だけは気がかりになる。国が借金をどんどん増やしてゆく姿には、耐えがたいものがある。そもそも借金というものは大嫌いだ。借金はしたことがない。お金を借りているという状態に耐えがたいものがある。
 気になって仕方がない。国の事でも同じだ。何で平気で借金を増やしているのか、その神経が分からない。借りるぐらいなら貯めてからと思う。お金の必要なことはある。国も当然そうだろう。老人が増えているから、大変なことは分かる。それなら、もっと緊縮財政にすべきだ。
 それでも医療や教育など、公共福祉と言うことに成れば待ったなしだろう。年寄は未来の社会のためだと思って我慢するほか無い。政治というものはお金の入り方と出方だ。と言う考え方がある。それが入り方の方は、どんどん借金を増やしてしまうだけでは最後には行き詰まる。

 財政再建は遠のくばかりである。財政再建を行うためには、政府の支出を減らすか、税収を増やすかのどちらかである。それ以外に方法はない。一軒の家計で言えば、お金が足りなければ節約をする。あるいは仕事を増やして、収入の増加をはかる。借金で生活費を補うようになれば、生活はいつか破綻する。

 ところが家庭では当たり前の生活規律が、政府には節約も税収の増加も出来ないでいる。政府はお金を発行できる為に、いくらでもお金を発行してそれを国債にして買って貰っている。政府は財政支出の半分も借金である。世界でトップの借金国になってしまった。

 政府の借金である国債でまかなうという状況から抜け出せないでいる。コロナやウクライナ戦争でますます財政は厳しくなり、日本の経済は本当に大丈夫なのかという所まで来ているが、岸田さんも黒田さんも、発言を聞いていると打つ手がないという状況に陥っているとしか思えない。

 景気対策やコロナ対策、消費者物価上昇対策などで、さらに国債を発行して対応するという、政府の自転車操業は荷物がさらに増えて続いている。もうよたよた走行で、いつ転ぶかそうとうに心配である。それでも走っていれば何とかなると、借金を増やした。

 アベノミクスという経済政策は、既得権集団の要求で出来たものだ。ここが大問題だった。様々な言い訳がなされてきた。政府は何しろアベノミクスは成功したと言い続けている。日本がここまで経済の衰退をして、なにが成功なのかと思う。もっと悪くなるはずをアベノミクスが食い止めたとでもいうのだろうか。

 結局第3の矢という、新産業の創出という肝心な目的の第一の物が、形だけの物だったのだ。大企業を優遇する。そうすれば日本経済は持ち直すと口先では言いながら、大企業の利益をばかりを追い求めて、それだけの物だった。国民の多くが大企業にすがりついたと言うことになる。

 今回大手企業連合が次の世代の半導体産業の企業を作るという事が発表された。こういうことが第三の矢だ。かつて、日本が世界の半導体産業を牽引した時代だってあったのだ。循環型エネルギーだって同じ事ではなかったのか。原発事故後にエネルギー産業にこういうことがお今われなければならなかった。それが出来なかった原因が、既存大企業を守ろうとしたからだ。

 今度の半導体事業も是非成功して欲しいが、まだまだ先の話だ。こういう事業を10年前に始めていなければならなかった。このことが失われたアベノミクスの10年と言うことだろう。この間大企業の既得権益だけが保護されて維持だけはしたが、新しい展開はなかった。

 大企業だけは確かに利益を増やしている。一方で法人税は何度も減税を重ねている。そうして利益を増やしたにもかかわらず、内部留保ばかり増やし、新しい産業を興すための設備投資は十分に行われていない。社員に対する給与も上がらない。これではますます日本経済が衰退していく。

 もう八方塞がりのような経済状況が10年以上も続いている。そうして日本はいつの間にかアジアでもトップクラスの国ではなくなってしまった。アジア諸国に行ってみればそのことは一目瞭然である。台湾や中国は行ったが、社会に勢いがあり、日本の遅れをいつも確認することになる。

 その責任の大半がアベ内閣にある。財政悪化をもたらした、だめの象徴の安倍晋三が国葬なのだから、一部の連中は自分だけ利益を上げて良かったと今でも思っているのだ。この身内優遇は桜の会の招待だけでなかったのだ。大半の人がないがしろにされる側なのに、何故支持してしまうのかが分からない。

 政府の世論形成力なのではないかと思っている。電通などによる、誘導マインドコントロールが行われている。オリンピックで政府と電通の密接な関係が見えてきたが、選挙も電通が行っている。電通方式で、どうすれば日本人を洗脳できるかが十分に調べられている気がする。

 ビックデーターの分析をしながら政治が行われているのだろう。世論調査は表面に浮んだことになるが、その背景でビックデーターの分析で、日本人の本音の変化を読み取っているのだろう。商品販売の能力を政治の誘導に利用している気がする。その増長慢がオリンピック汚職である。

 この10年で一番だめになったのが、日本の教育および研究機関であろう。あの学術会議任命拒否事件はうやむや状態にある。政府は次の任命の時まで、6名不足の状態で良いとしている。結局、学術会議はそれを覆すことが出来ないまま、曖昧に抗議を続けている。

 この事件の状態が日本の学問や研究や教育の衰退する理由である。学問や教育が政治の言いなりになる状態が続いている。文句があるなら金を出さないと言われて、すごすごと引き下がるという状態では、活力が失われて当然である。

 学術会議にそれだけの意思の統一がない。全員が任命を拒否すれば良いのだ。ストライキである。昔ならば学者にそれくらいの強い意識と、尊厳があった。今の御用学者は体裁だけで、政府を忖度して勲章が欲しくて学術会議にいるような人が多数派なのだろう。

 労働組合にも活力が失われてしまい、まるで政府に従う労働組合になってしまった。企業が倒産するのは困るのでほどほどの給与でお願いしますという。戦わない労働組合になってしまった。だから日本の給与は下がってゆくのだ。日本人の活力低下も財政再建出来ない一つの理由だ。

 給与が下がるから消費が伸びない。ほどほどで良いと言うことだから。政府は国債をさらに増やして破綻を先延ばしに出来る。それを困ると言わない国民というのもどうかしていると思う。今が良ければ孫子の時代のことなど、どうでも良いというのだろうか。

 - Peace Cafe