テロ無くす方法
またロンドンでテロ事件が起きた。パリでも起きた。テロ事件が後を絶たない。日本でもテロ対策法という共謀罪が審議されている。加計学園問題で前川前文部省事務次官が政府に都合の悪い記者会見をした見返りに、スキャンダル情報を読売新聞が報道した。たぶん発言する前に、発言したら公表するぞという脅しがあったのだろう。それでも黙らなかったという事ではないか。こういう息苦しい世の中になった。このやりきれない政治状況がテロの原因である。政府がすべての情報を握り、不都合な人物を黙らせる。政府にそんな情報があるなら、前川氏が文部次官の時に公表すればいいではないか。黙らせ、思い通りに動かすために個人情報を集めている。独裁政権特有の嫌な世の中になってきた。共謀罪の本質は情報収集法である。強権的政府の不安の反映なのだ。独裁者は警察力を強化する。それが逆効果でテロが後を絶たない。イギリスでもフランスでもアメリカでも徹底した情報収集が行われているはずだ。だから、テロが起こると危険人物としてマークはしていたと発表される。
それでもテロは後を絶たない。事件が起こるとこの人物は把握されていたが、それほどの危険人物だとは考えず、注意を怠ったという事が発表される。怪しくもない人間も追跡しているという事がよくわかる。それでも、テロは起きてしまう。人間は圧迫されれば、反発する。北朝鮮の状態まで、圧迫すればテロは起きないかもしれない。それでも権力者は不安な日々のようだ。だから見せしめの公開処刑まで行う。テロを無くすためには力では無理だ。人間はそういう性格の動物である。テロを起こしたくなるような社会環境を取り除く以外にテロは無くならない。自爆テロをするというのはよほど自暴自棄になっている。いくら聖戦だと洗脳されているにしても、自分の未来に希望が持てる人間が自爆テロはしない。自爆テロをしないとしても自分の未来にも、周辺の人間の未来にも、仲間の未来にも、希望がない状態に追い込まれているのだ。この貧困と格差の状態は、確実に世界に広がっている。イスラム国はその一端に過ぎない。
日本もこのまま進めば、格差がさらに拡大して行き詰った社会になる。45年前には、日本でも自分の力で大学に進むことができる時代があった。金沢大学に行って下宿生活をしていたのだが、入学準備から卒業まで自分の範囲で出来た。高校の時に家出をして、東京に出てきて文房具店で働きながら早稲田の夜学に行った友人がいる。その後働いてフランスの大学に行く準備も出来た。その友人もフランスに留学した。それほど特別なことではなかった。仲間にはそういう人が沢山いた。そのころすでに将来はこのまま進めば、大変な社会になると考えていた。ある程度今の状況は予測していた。その時に社会の方向を変えることができなかった。その結果が今の状況にあるのだから、力不足だったという事なのだろう。何もできなかったのだから言い訳はできない。渋谷事件の中核派の一人が捕まったが、あの頃の何がいけなかったのか、いろいろの事がよみがえる。世の中を動かしてゆく得体のしれない力学の存在。
経済というものが世界を動かしている。テロもそこに原因がある。その経済の力学はテロによっても変わらない。経済の姿は実は人間という動物の欲望ではないか。欲望のコントロールができないがために、人間は人を蹴落として、踏み台にして、自分だけが良ければいいという事になる。アメリカ人の中には素晴らしい人たちがいる。自由な社会の意味を世界に示すことで、世界の新しい方向を切り開いた。その裏にはつねに、、アメリカファーストとのせめぎあいがあったのだろう。そしてついに、アメリカファーストが多数派になった。世界一の産油国アメリカ。世界一豊かな国アメリカ。そのアメリカではテロが頻繁に起きている。人間の競争が格差社会を作り出し、テロの生む原因になっている。イスラム国にも、北朝鮮にも話が通じないところまで来ている。テロを無くすためには、格差のない世界への希望だ。このまま頑張れば、格差のない世界ができるかもしれないという希望だ。今希望が断たれているから、テロが起きているのだ。テロを無くすには格差を無くことだ。