シリアミサイル攻撃と北朝鮮

   

アメリカはシリアアサド政権が化学兵器を使用したと断定して、ミサイル攻撃を行った。世界が軍事衝突する危険が急速に増している。アベ政権はすぐにアメリカ支持を発表している。自民党は北朝鮮に対する反撃攻撃可能な戦力の保持という事を提議した。アベ政権は中国敵視政策をとっている。もちろん、中国の経済成長に伴う覇権主義の外交姿勢が根底にある。理由はどうであれ、中国敵視政策は日本にとって何の益もない。中国は多様で、複雑な大国だ、その時々様々な動きはする。そのいちいちで日本の姿勢を変えることでは、日本のアジア外交は道を誤る。シリアに空爆を行うという事は、アメリカは北朝鮮に空爆を行う可能性もあると考えなければならない。こうなれば支持を表明するどころことではなくなり、日本の基地に北朝鮮が反撃する可能性もも現実化してきたという事だ。

アベ政権が中国敵視政策をとるかにはアメリカとの関係がある。日本国憲法を自民党憲法に変えるためだ。平和憲法では危険すぎるという意識を国民に持たせたい。そして攻撃力のある軍隊を持つ国家に戻ろうという意図である。もう一つは、同盟国アメリカへの要請である。中国の台頭を危険視しているために、日米協力せよという圧力である。3つ目が経済である。世界経済の競争で中国に後れを取る不安である。一方で北朝鮮による核ミサイルが日本に打ち込める状況が構築されつつある。北朝鮮の自衛のためという、日本をまねたかのような主張である。日本でも核保有の議論も出て来てるが、北朝鮮に軍事的に対抗するためには、当然核武装が必要になる。長距離弾道ミサイルも必要になる。それはあくまで、日本の自衛のためという事になる。こうして各国が自分の安全を守るためには、軍事力の競争をするしかないという動向が顕著になってきている。現状はテロとの戦いという言葉に置き換えられてはいる。こうして人類はまた世界大戦に向っている。アメリカのトランプ登場も、イギリスのEU離脱も、競争主義の進まざる得ないところである。

確かに北朝鮮には問題がある。中国の軍事戦略にも問題がある。しかし、日本がそれに合わせて同じ道を進めば、遠からず勃発する軍事衝突は回避できないことになる。日本の平和主義は世界のわずかな希望である。これを単なる平和ボケのたわ言として捨てることになれば、戦争は一気に近づくことになる。平和主義など武力の前には何の頼りにもならないという主張も否定はしない。しかし武力に対して武力で対抗することは何度も失敗してきた戦争の道である。日本は平和憲法による、平和外交を行ったことがあるだろうか。国際紛争を平和的に解決する努力をしてみたことがあるだろうか。努力というほどの活動はしてきていない。他の国と同程度の努力しかしていない。日本は軍事力に頼らない平和を目指して、最大限の努力をすることの方が、日本の安全保障にはなる。確かに平和外交には大きな期待は持てない。しかし、武力的解決法は間違いなく戦争への道だ。日本がアメリカの軍事攻撃を支持する必要などないのだ。

北朝鮮が核武装した。このミサイルを防ぐことなどもうできないのだ。必ず、先制攻撃という事になる。ミサイルを発射する兆候があるから、ミサイルを撃ち込むという事になる。シリアで行われた通りのことが起こる。日本がミサイルを先制攻撃しそうだというので、北朝鮮も自衛のために日本に先制的にミサイルを撃ち込む可能性が増大する。自民党が主張するように日本がミサイルを保有することは、北朝鮮に口実を与え、戦争へ突入する可能性が増える。北朝鮮の冒険主義を抑えるためには、懲りずに、粘り強く、平和外交を行う以外に道はない。そんなことは無駄だと思える平和的手段でも、先制攻撃ミサイルを保有するよりはましなのだ。不安がゆえに武力化するのはアベ政権も、北朝鮮も同じだ。緊急事態である。北朝鮮を安心させることを最優先にすべきだ。

 

 

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