TPP交渉

   

米国が日本に対しコメの輸入を21万5千トン増やすよう要求していることが18日、はっきりとした。いつの間にか日本政府は5万トンなら受け入れると、国民との約束とは違う話しをしている。以前米は聖域で一切譲歩しないと政府は言っていたはずだ。まあそんなはずはないと、多くの人が心配して、TPPは止めろと言っていたはずだ。想像していた通り、アメリカはコメを輸入しろと主張して、既に日本政府は受け入れている。これでは約束が違う。約束が違うと書いた新聞が無いのに驚く。これが翼賛報道の姿なのか。ただちにTPP交渉を終わりにすべきだ。日本の国柄を瑞穂の国としたのは総理大臣たる安倍氏だったのではないか。安倍氏は保守主義者と言われているが、どうもそうではなく、単なる財界の使いぱしりという姿がここでもわかる。やっているすべての政策が、財界の利益を誘導している。国民がここまで露骨に財界に利益誘導する総理大臣を支持していると言われる所が、全く情けない限りである。大企業が稼いでくれれば、そのおこぼれが廻って来るかもしれない。と甘い汁を期待しているという事なのか。

韓国の経済戦略が、日本の先を進んでいる。確かに韓国の数社の企業は、近年世界企業に躍進して、韓国経済は一時好調に見えた。所が、予測した通り、韓国社会では様々な問題点が浮かび上がってきている。日本もその二の舞になる可能性が高い。その事を他山の石として、日本がどんな社会を目指すのか、日本人全体が真剣に考えるべき場面を迎えている。大半の日本人は社会全体の事より、自分の暮らしに精一杯の日々に追われているのだろう。おこぼれがあるなら、それを待つのが一番だと言う事になる心理もやむえないのかもしれない。おこぼれなど無いと気付くときには遅い。要領の良い人達と、馬鹿を見る人達とに社会は二分化して行くとしなければならない。最近はもうその点ではあきらめ気味である。いまさら65歳を越えて自分が、要領よく立ち回ろうとは思わないが、格差の深刻化する社会の中で出来る事を考えている。

心ある人の不二着地点の方角だけは探りたいと思う。日本が食糧の自立を目指さないのであれば、自分だけでも自給を確保した方がいい。あれもこれもはもうできないので、「地場・旬・自給」の実践的道筋だけは、つけたい。アメリカは国土の条件が特別な国だ。この国の主張する平等とか、正義は、実は強者の平等になる。アメリカと連携しようと日本がすがりついた所で、頭越しに米中が連携した事を記憶しておくべきだ。世界が徐々に暴虐の嵐の予兆が見えている。この嵐に武力で対抗しようと言うのは馬鹿げたことだ。テロ国家が原爆を持って、自己主張を始める時代である。ミサイル防衛システムを整備するなどと言っても、有効に機能しないだろうと考えている。結局は、怪しいという段階での先制攻撃論が出てくる。同時に、日本も核武装しなければ対抗できないという主張まで行くだろう。軍事力の均衡による平和は、一時の危険なバランスの様なものだ。

TPPは即座に止めなければならない。米の輸入はしないというのが交渉の基本方針であったはずだ。国家の安全保障の為に、食料の自給をせめて半分くらいは確保すると言うのは、ごく当たり前の国家の有り方である。それを止めろとアメリカに言われる筋はない。もしアメリカからコメを輸入しなければ、国民の食糧が確保できないとなれば、もう国家としての尊厳の維持が出来ない。それは国の安全保障の観点からも、大原則である。日本の国土の豊かさは、世界でも群を抜いている。実に奇跡の様に多様で豊かである。確かに、自然災害の頻発する土地ではあるが、この日本列島こそ、日本人が生まれ育った国土である。その基幹となる、稲作を止めると言う事は、全くもったいなく、ばかげている。この事を正面から議論して決めるならともかく、騙し打ちのような形で、なし崩しにアメリカの主張に従うのであれば、日本が日本である事を止めろという事になる。

 - 稲作