教育現場のアンケート

   

学校でアンケートをとるなど、生徒の時も教師の時も経験が無かったので強い違和感がある。しかし、今の学校では普通に行われているようだ。現状ではこれもいたしかたないのかと思うほどの緊急的状況である。アンケートと言う手法は、教育者としての敗北を認めた手法である。アンケートを行うより、心理テストを実施した方がいい。心理テストなら、記名で行って問題が無い。実施するのはクラス担任より、カウンセラーが行うほうがいい。アンケートをやることが、学校関係者の保身の、いい訳のために行なわれる可能性もある。学校はアンケートの結果、悪いことが隠れていないという結論の為に行う事もありうる。心理テストを行うと、かなり生徒の置かれた状況は見えてくるはずだ。イジメがあるとか、無いとかよりも、対策の必要性がわかるはずだ。全体を把握することが出来れば、問題の核心も見えてくる。

私の高校生の頃、たばこを吸っている生徒はいるらしいというので、調査が行われた。この手法がひどいものだった。朝礼で生徒が、体育館に集まっている間に、教師たちが持ち物検査をした。行われたこと自体がしばらく分からなかった。後で処分された生徒からこの事実が漏れてきた。この教育的でないやり方には驚いた。勝手に人の所持品を検査したのである。明らかに人権侵害である。全学級にオルグに出掛け同志を集め、授業をボイコットした。図書館に立てこもった。学校側と交渉を持った。このやり方が間違いであったことを認めさせ、一切処分をしないことを約束させた。もしこんなやり方で処分が行われるなら、すべてを教育員会に明らかにして、裁判でも何でもやる。こんなことは教育にあってはならない。まあ、喫煙でこんなこじれたことに成った。アンケートで探ると言うのも、犯人捜し的な厭な意味がある。

教育現場と言うのは、生徒と教師と言う、独特の関係の中にある。世間では通用しないような不思議な価値観が生じている場合がある。イジメが多発している現状では、心理テストを行い調べるのは良い方法である。それでもやり方にはを十分な配慮が必要である。まず基本は担任が心理テストの管理はしない。第3者委員会のようなものが行う。授業を担当しない心理カウンセラーが、十分配慮の上行う。普段授業を行わない専門の職員が行う。月1回定期的に行う。何かがあるから行うではなく、やるなら日常的に行う必要がある。それでもどうしてもアンケートを行う場合、アンケートを行う事が、抑止力に成る場合だろう。その場合でも担任や校長は出来る限り、アンケートに関与しない。それは教員が信頼できないと言うのでなく、そうでなければアンケートが歪んでゆくからである。アンケートは無記名で行う。アンケートが無いことの証明に使われることは、とても危険だ。

今学校で起きていることは、社会の展望の喪失の反映である。責任というものが存在しないような、社会の様相が、学校に反映している。家庭ですら、子供の虐待が増加している。社会のゆがみが弱い所に現われてきている。今起きていることは、社会に深刻な問題がある反映だと考えなければならない。日本人が安定した暮らしと言う、基盤を失いかかっている。農村社会と言う安定が失われた。いつでも帰れるはずだった故郷が、幻と消えた。戻るすみかを失った日本人が、どこに行けばいいのかさまよっている。経済、お金と言う価値観では、競争の不安が増幅するばかりで、これでいいという安定した心のよりどころが見つからない。限界集落問題は日本人全体の問題である。すべては稲作を離れたことに起因する。経済的に豊かになるということは悪いことではないが、それだけでは心の安定は得られない。競争が厳しく成ればなるほど、弱い子供たちの社会に問題が起きて来る。

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