チェーン除草

   

国府津にある志村さんのされている田んぼでチェーン除草の試験が行われた。志村さんは、お米屋さんだが、お米を販売しているのだから、田んぼをやってみたいと言う人だ。至極まともな考えであるが、今の時代にこのように原点から考えてみる人は少ない。考えるだけの人は居るかもしれないが、実行してしまう人は稀有な例だろう。志村さんは今年正式な農家になった。まだ小さな子供の居るお父さんだ。20代の頃は、海洋を調べる仕事の会社に勤めて全国を回っていたらしい。農の会のメンバーでは異例の、サーファーである。こんなまっとうな一見普通の人が、何とか兼業農家として暮していける小田原を期待している。志村さんは今年は5反5畝の田んぼの耕作を行っている。5畝は子ども達が手植えしたと言う。昼間はお米屋さんだから、田んぼの作業は早朝の事となる。まさに、兼業農家の鏡ではないか。

彼の作ったお米も、秋になれば浜町の志村米店で買うことが出来る。志村米店は足柄平野のあちこちの農家のお米の販売も行っている。こういう人が居るから、小田原は面白いのだ。チェーン除草を見せてもらった。彼は普通の農家で5年は研修をしていた。だから、代かきでも、機械の田植えでも、上手いものだ。先ず有機農業とか言わないで、普通の技術を学んだと言うのも彼らしい。その充分の技術の上で、有機農業に転換した。お米屋さんだから、米糠除草もだいぶ研究していたが、田んぼの畦の問題もあって、うまく草を抑えられなかった。そこで今年はチェーン除草をやって見る事にした。話には聞いていたが、到底上手く行くとは思えなかったので、今まで見に行かなかった。志村さんは、すぐに、南足柄でやっている武藤さんの所に見に行った。これはいけそうだと言う事で、今年は実践する。田植え3日後から、始めるというから、結構慌しい。

6時からの見学会と言うのも、なかなか良い。森戸川と御殿場線に挟まれた、辺りに田んぼは集中してある。こちらも昨日植えた、めだか田んぼを見回ってからの、参加になった。志村さんの田んぼが、今年の農の会の実証圃場となっている。25日にも、有機里作りの会のメンバーで見に行く。何度も通うことになるだろう。二見の健やか堆肥と、志村さんが作った米糠ぼかしの比較実験もしている。これも、実証圃場に併せてやったと言うより、前から比較しながら耕作して来た。この前向きな精神が志村さんの研究者的な姿勢で、多分勤務していた仕事で学んだものなのだろう。二見の堆肥が、どれだけ有効なのかとても興味がある。小田原の食品廃棄物が、小田原のお米になる。米ぬかだって、食品廃棄物と言えるのだから、志村田んぼは、小田原の循環のモデルと言えるだろう。

チェーン除草はなかなか良さそうだった。又1週間したら、やるのだそうだから、そのとき見せてもらえば、かなり実態が分かるだろう。舟原田んぼでも、一枚試験してみる価値がある。植えたばかりの稲が抜けないと言うのが良く分かった。しかし、緑肥を大量にすきこんでいるので、枯れ草を引っ張ってしまうおそれは多分にありそうだ。その辺の事は、やって見なければ分からない部分だ。1反15分で歩けるというのは、さすがに、志村青年ならではと言う事だが、30分かかるとしても、5反で2時間30分、これを4回ぐらいやるらしい。こういう実験的な方法は、農家の方では手が出しにくい。失敗したら笑われるような実験的なことは、我々のようなものがやればいい。笑われてもどうと言う事がない。昨日機械屋に行ったら、あんたはやたら機械を壊すと言う話だが、と突然言われた。トラックターを5台も壊したそうじゃないか。貸すと壊してしまう。と言う噂だと言われてしまった。確かに1台は壊した。あの機械屋にはもう行かないことにした。

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