樹木チップの利用
のぼたん農園の土壌は、農業をしてゆくためには改善を要する困難なものだ。一番の問題点は腐植が不足している。不足と言うより無い。牧場になる前、パイン栽培が行われていたらしい。この時代に表土が流出してしまったといわれている。そのために表土には大量の石が存在する荒れた土地だ。
その表土は化学肥料と除草剤が過去に使われてきたために、砂漠の砂のような状態である。その上に亜熱帯の強い太陽光に直接さらされたために、微生物がほとんどないような土壌になった。土壌は雨に濡れるとドロドロのものになり、乾けば日干しレンガのようにカチカチになる。
土壌に腐食を増やすためには、樹木のチップを入れることが効果的だと考えてゆく。時間をかけて草を入れてゆくのも有効だが、草より木質のものの方が、腐食を増やす。長く土壌に残る。炭素循環農法の考え方である。速効性のある土壌改良になる。農の会でも畑の土壌改良に剪定チップは使う。
乾いているときであれば、チップを満杯に積んだ4トントラックが通過しても、畑の作業道にはタイヤの跡さえ付かないほど堅い。特定の植物以外は育つことが出来ない土壌だ。この土を積み上げて表面が濡れないようにすれば、コンクリートなみの強度が出るのではないかと思えるほどだ。
この土壌は畑としては無理だろうが、水田であれば何とか利用できると考えている。水に濡れているときにはドロドロになるからだから、濡れた土壌であれば植物の根が入らないわけではない。ただし、腐食は無いのだから、肥料を土壌が含み込む能力は極めて低いだろう。
確かに初年度の今年は稲の生育は弱い。肥料不足と思われる。見た目どおりというか肥料を含まない土壌だった。状況を把握できないまま、肥料を多く加えることは危険だと思い、最小限の量にした。今後のぼたん農園で堆肥を作り、投入してゆきたい。水牛の糞は利用できるだろう。
5年間年月をかけて有機農業の土壌を作り出す。すぐに効果の出るようなことは考えないで、地道に土壌を作ることを考えたい。水田では通年通水をして、表土を乾かさず、水草を育てて、水草を腐植にしてゆく。アカウキクサが良いと考えているが、まだ見つからない。
それでも何らかの水草を稲作の後田んぼに増やすつもりだ。そして一年中通水して、土壌に腐植にする。水草利用水田という考えはすでに行われた前例があるのだろうか。聞いたことはない。水田にある草は雑草と考えてしまい利用しようなどとは考えられていないのだろう。
田んぼに樹木チップを入れることも試みる必要はある。10番田んぼはまだ何も入れていないので、剪定チップを入れてから荒起こし代掻きをしてみたい。そして水を張り続けて、来年の田んぼの準備にしたい。上手くゆく可能性はある。
田んぼ以外で沖縄の土壌で有機農業で可能となるものは、果樹ではないかと思っている。果樹栽培であれば、石が少々あっても真土まで根が届くから、問題は少ない。深い土壌にはそれほど石が多くあるわけではない。赤土になっている。
大量に石があるのは表土で、その下には良い土壌が存在した。赤土の場所が多いが、場所によっては石が風化しかかったような場所もある。砂地もある。ともかく多様だ。悪い場所もあるが、八〇%ぐらいは使える土壌と考えて良い。
そして植えた果樹の回りには、チップを敷いて根を保護したいと考えている。現在は果樹園予定地には向日葵の種を蒔いた、向日葵を腐植の増加に役立てる予定だ。そして植えたならば、その周辺にチップを蒔いてゆきたい。チップが強い光線から土壌を守ってくれるはずだ。植えた果樹苗の土壌環境をいくらか良くするだろう。
先ずは植え穴をユンボのある間に掘らなければならない。少し深めに掘ってその穴の下に剪定チップは入れてかき回しておく。その上に果樹苗を植えれば、後々良くなるような気がする。果樹の植え穴が深ければ、果樹園全体の浸透性の改良になるはずだ。
果樹園全体としては叢生栽培を考えている。草を生やしては刈り込む。時間をかけて腐植を増やす。現在牧草が入っているから、牧草を生かしてゆけば良いかと思う。表面の草が土壌を保護してくれるはずだ。腐植を増やすと言うことを第一目標にする。砂漠の土壌を、農地の土壌に戻す。
一番問題となるのが畑作である。予定としては大豆や小麦、保存野菜のいも類や玉ねぎはやるつもりだ。お茶も良いのではないかと思っている。お茶は番茶で使いたい。堅くなったお茶の葉を焙じてそのまま使う方法である。自給の基本となる作物は一通り作りたいと考えている。
今回の剪定チップは4トントラックで4000円である。これを10台分お願いしたので、4万円になった。運搬賃と言うことだろう。なにしろ、崎枝まで運んでくれるのだから致し方ない。タクシーだってそれ以上にかかる。チップ自体は発酵を始めていて、悪くない。しっかりとした樹木チップである。
40トンのチップを運んでくれた。2反あるとして、10㎡に20キロ。果樹苗1本に一袋くらいののチップを使うと言うことになるのか。これで果樹園の土壌はいくら
か緩和されるだろう。果樹苗については、4月14日にシャンティー農園の方と打ち合わせる予定だ。
か緩和されるだろう。果樹苗については、4月14日にシャンティー農園の方と打ち合わせる予定だ。
将来畑作を行う上の方の畑も穴を掘り周囲の草を埋め込みたい。もちろん剪定チップも良いだろう。果樹園の苗の植え込みが終われば、畑の改良を始める。ユンボがある間に畑の法も穴掘りだけはしておいたほうが良いだろう。穴掘りをして周辺の草を入れ込んでおく。
そこまでユンボが使えるかどうかは未定であるが、もし可能ならば、5月には畑の土壌改良をやりたい。先ずはユンボのある間に、穴を掘り、周囲の草を入れてゆく。穴があるだけで畑の状態は変わるはずだ。畑予定地に入れるだけのチップはないので、またお願いしたい。今度は10トントラックで農場の入口に下ろしてもらえれば大丈夫だ。10トントラックだと6000円だそうだ。
この硬い土に穴を空けるのは、ユンボが無ければほとんど不可能である。手で可能ならやりたいが、とうてい無理なことだ。手で100個の穴を掘るとすれば、1年はかかるだろう。ユンボでやれば、二,三日あれば可能だ。きかいを使う農業というのも問題だと思うが、必要なときには機械も使う方が良い。
溜め池の上部の畑の水持ちが良くなれば、湧いてくる水の量も増えるのではないかと思われる。今は表面を流れるだけで土壌に浸透してゆく水はほとんど無い。土壌に縦浸透が増えることは畑の作物にも良いことだし、土壌の流出もなくなり、保水力も増すはずだ。