共謀罪の問題点

   

政府は共謀罪(テロ等準備罪を含む)の必要性について、2つ挙げている。一つは国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を締結するための法整備が必要という理由。もう一つはテロの危険が迫っているので、共謀罪が必要という理由。まず、TOC加盟については、政府はむしろそれを理由にして共謀罪を作ろうとしていると考えた方が、理解しやすい。今ある法律の整備だけで、TOC加盟は可能だからだ。国民を欺くように、共謀罪が出来ないとTOC加盟が出来ず、オリンピック開催が出来なと説明している。根拠なき脅しである。政府は、今の法律では対応できない具体的なケースとして「ハイジャック」「化学テロ」「サイバーテロ」の3つの事例をあげた。しかし今の法律の範囲でも、こうした犯罪に対応しているのであって、何故、新しい法律が必要なのかの説明は足りない。国会の答弁を聞いても意味不明のままだ。

政府は今の法律では運用が慎重なため、果敢に、迅速にテロ防止に対応できないでいると主張している。この意味は実は共謀罪を根拠にした捜査の問題でもある。サイバーテロの防止の為には、携帯電話情報の大量分析などが必要。国民すべてのメールや、電話、検索、を総合的に把握して、データー的にテロの企画をあぶりだしたいという事だろう。維新の党の共謀罪はこの点が強調されている。これはすでにアメリカでは頻繁に行われているようだ。アメリカではウイクリークスの内部告発でアメリカ政府の情報収集が暴露された。たぶん日本のアベ政権もやってはいるのだろうが、それをさらに総合的に、合法的に行いたいのだろう。一人の人間をマークしたいと考えた場合、GPSやカードの使用、スイカなどの利用、電話利用、パソコンの使用。これを総合的に繋ぎ合わせ、蓄積すれば、私自身のことを考えるとかなり浮かび上がると思う。テロリストだというでっち上げも可能になる。すでに国民が羊化している原因でもある。

こういう個人情報の集積の仕方は、不愉快である。自由感のない暮らしにくい世の中になる。個人情報というものが、筒抜けになるという事は人権侵害である。情報収集が権力の行使に使われるという事になる。それを合法的に行うというのが、共謀罪と考えたほうがいい。あらゆる組織活動を監視する可能性が高い。いまでもやってはいるのだろうが。これは合法的にさらに徹底するだろう。公明党や、維新の党が、アベ政権のちょうちん持ちをやっているのは、徹底調査の結果弱みが把握されているという可能性がある。公明党や維新の党はさらに自民党に従う以外に道がないことになる。権力が権力維持のために共謀罪を利用するようになる点が一番の問題である。その為に、組織というものは委縮する。組織に政府が人を送り込む。そして、共謀罪を密告することになる。

共謀罪は怪しいと考える組織の情報収集が、拡大徹底され合法化されるという事である。すでにボランティア組織などにも、政府の情報収取員が入り込んでいる。そうとしか思えない人にあったことがある。環境関連の組織に実にこまめな役に立つ人がいた。そこの人間だとして他の組織を訪ね歩いていた。助かるのでつい手を借りる、いつの間にか私たちの組織に入り込み名簿作りを始めた。まったく意味不明でおかしいと思った頃その人は死んだので、実態は分からなかった。権力者というものは不安なのだ。権力を維持したいがために、あらゆる手立てをとりたくなる。権力者が権力を守るために、共謀罪を悪用するだろう。テロ防止を理由に個人の情報を、政府が自由に集めることが許されれば、暮らしにくい社会になる。犯罪防止に監視カメラは有効であるが、その範囲が無原則に広がり、家庭の中にまで及べば暮らしにくい社会になる。そういう事件がすでに起きている。監視の程度は今の法律の範囲で十分である。

 

 

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