スリットドラム9

      2016/04/09

スリットドラム16号 

中型のものだが、大型に匹敵する音が出た。見た目もなかなかのものだ。30年くらい経過したような風格がある。これは演奏家の方が使えるレベルのものではないか。16号で分かったことは、意外にも箱の長さが音に影響が強いという事だ。側面に簡単なスリットを入れて、天板の音と組み合わせて鳴らすことができる。また底板にも天板と同じようなスリットを入れて、両天板という形である。一つの天板はローズウッドで作り、もう一つの天板はパドックである。4面にスリットを入れても、響きが良く出る。理由は4面を堅木のパドックで作ったからだと思う。

スリットドラム18号 

小型のものの中では今までで一番美しい箱である。造形作品としてはなかなかのものである。多分世界で一番美しいスリットドラムの一つである。と勝手に考えている。18号よりも美しい箱が世界のどこかにあはるかもしれないが、今のところ見たことはない。残念ながら音の方は改善が必要で、一度解体しようかと考えたが、あまりに良い形なので、これはこれで残した。重さは2,5キロほど。案外に重いものだ。この450ミリサイズが小型としては目指す大きさではないだろうか。音に問題があるのは、組み立てるときの接着が完全でなくどこかが緩んでいる事が理由のようだ。接着を完全にする方法が次の課題かもしれない。

 

17号 

17号はさらに小さいもので、音はそこそこのものだった。海の底から響いてくるような響き音の奥行きが少し欠けた。これは小さすぎるたためかと思う。欲しいという方がおられたので差し上げた。17号もなかなかの見た目が美しい箱である。今度写真を送ってもらえたら、載せたいと思う。

木で作るが箱なのだから、造形作品として美しい楽器でなければつまらない。木というものが持つ味わいが現れていてもらいたい。楽器なのだから、音が良くなければだめだ。この両立が楽器の面白いところではないだろうか。世界のどの楽器もなかなか美しい造形をしている。それは良い音を追い求めた結果、美しい形に行き着くという事であろう。良い音が出るために必要なことがだいぶわかってきた。その結果箱も美しくなってきた。箱の縦横の比率や、全体のバランスも美しさには大切である。良い音が出るためには、つまり自分の望む音が出てくれるためにも、天板と側板の比率は重要な要素になる。まだ行き着いてはいないが、存在する黄金比のような状態を目指して摸索してゆきたい。側面の板は柔らかい杉材でも可能である。天板と底板が硬い板であれば、音は反響してよく響く。

最近はっきりとしてきたことは、打板の切り込みが、心地よい線を描いて絵になっていることが重要。厚さは音に影響が大きいが、10ミリから30ミリくらいであれば、小型から大型まで使うことは出来る。作る好みと目的で板厚は決まってくる。それは木の材質にもかかわることで、パドックはとても優れた材料で、音に幅が出しやすい。しかし、黒檀やローズウッドや花梨は響きが澄んでいる。その良さもあるので、天板をパドックにしたら、底板をローズウッドにするというのはいいと思う。一つの楽器で音の違いを楽しめる。底板や側面に切り込みがあっても音が落ちるという事はない。底板は硬ければいいかと言えば、それだけではない。楠の60ミリの底板で作ったものも音が深い。望む音があれば、そこへ向けての選択である。それでも底板は堅木であるのが基本であるが、側面の板は柔らかい板でも可能である。杉板で作ったものも味わいの違いはあるが、それなりである。

 

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