水彩人に対する東京都による審査結果

   

水彩人展では年一回の本展と呼ぶ大きな展覧会を東京都美術館で行う。この東京都美術館での展覧会の開催には承認が必要である。5年ごとの審査で決まる。審査は直接都美術館が行うのではなく、第3者機関のような組織が行うらしい。半年ほど前に審査の説明会があり、東京文化会館の小ホールで行われたが、そこに満杯になる500人を超える人が集まっていた。どこの公募団体にとっても、東京都美術館が使えるかどうかは、存続の命運にかかわるような重大なことになる。この審査で5年ごとに開催団体を更新してゆく厳しい方式は、実は5年前都美術館が改装されたときからの新しい方式である。その5年前の2011年に、水彩人はその5年間安定して開催できる団体に認定された。それまでにすでに3回ほど都美術館で開催をするようになっていたが、あくまで自分たちの研究会展の開催ということであった。いわゆる公募団体とは考えていなかった。メンバーを公募し審査はしているが、それはあくまで水彩研究のためのグループのメンバーを募るという意味だった。

水彩人はどこまでも水彩画を研究する組織で、その研究のために展覧会もすることがあるということだった。私たちが考えるような水彩画を研究する場は、どこにもないので作るしかなかったのだ。公募展としての水彩の会は2つあったが、水彩画の研究というより、展覧会を行うことを目的にしていた。東京都美術館が改築され新しく動き出すにあたり、それに呼応するように、水彩画の第3の公募団体として、水彩人は改組、再生することになった。9回展から東京都美術館で開催をはじめ、2012年の14回展から正式に公募団体として出発した。今回の9月25日から開催の17回展がそれから4回目の展覧会となる。今回の2度目の審査を受け、承認されたのは19回展から23回展までの5回の展覧会の審査承認ということになる。最後の2021年開催の23回展はもし、元気であれば72歳ということになる。ここまでは責任があるということなので、ひたすら絵を描く覚悟である。

審査結果はⅢ-1という結果であった。今までと同じ利用ができるということである。事務所としては、この審査の準備に力を入れていたので、複雑な気持ちである。つまり、ワンランク上がり、会場を2室使えるようになることが夢であった。出品者の増加。仲間の増加を考えると、次の5年間が今のままというのでは、かなり条件が厳しい。十分に2室使える組織と考えていたので、がっかりした。と思いながらも、同時に今と同じ条件が確保できたということの安ど感もある。もし、ランク付けが下がれば、利用が出来なくなる場合すらある。いろいろ聞くところによると、応募者が減少している団体も多いそうだ。以前書の会が、同じ人がたくさん作品を書いて、名前を変えて出品者が沢山いるように装ったことが、明るみに出た団体があった。私たちは、良くも悪くも、馬鹿正直にやることにしている。あらゆる側面を厳密にカウントして報告をしている。審査資料も実際のところをできる限り正確に表現した。

公募団体は出品者の絵の審査をしているが、団体そのものが、東京都美術館によって5年に一回審査を受けていることになる。これは厳しいことだが、正しいことだと思う。審査過程の公表という言ことは課題として残っている。公募団体というものは私を含めて老齢化ということが問題になっている。絵を描くということは年齢とは関係のないことではあるが、それでも平均年齢が70を超えるようでは会の運営は難しいだろう。絵を描く若い人が、公募団体に関心を持たなくなっている。公募団体というものはどれだけ著名なものであっても、あくまで絵で生活してゆける資格のようなものではない。絵の教室の先生をするときの肩書ぐらいにはなるが、絵を販売して暮らすような人は、公募団体から現れるようなことは少ない。結局、画商さんから出てくる。画商さんは昔ほど、公募団体の肩書を重視していないように思う。

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