イスラム国と安倍氏

   

イスラム国に2人の日本人が拉致された事は、政府は2ヶ月以上前の11月に把握していたという事だ。と言う事はその後の日本政府の言動、行動は拉致された日本人を意識した上でのことだった。安倍氏が中東に行くと言う事が、どういう結果になるかは、充分計算された上での事と考えなければならない。イスラム国は拉致した外国人を殺害し、映像を公開するというやり方からして、日本人の2人に何が起こるかは、充分認識していたはずだ。政府内部には、安倍氏に中東には行かない方がいいと進言した人もいたと言う。しかし、安倍氏は強引に出掛けて行った。その理由は、悲しい事だが以下の様に考えざる得ない。日本人の殺害予告が世界に公開されるだろう。それに対して日本の世論が、軍事力がないからこういうことになるのだ。憲法を改正して、武力のある強い国になるべきだ。このような世論の誘導を狙ったのではないかと言う事だ。

後藤さんの母親が安倍氏に面談を求めて、断られた。今の後藤さんの立場と、母親の思いを考えれば、対策本部まで作っている政府が母親に会わないなど、いかにも不自然である。日本政府が今回の事件をどう利用しているかがうかがわれる。安倍氏の頭の中にある筋書きでは、日本も武力をもたなくてはならないのだ。と言うような世論の動きの誘導なのだ。邦人の救出を自衛隊が出来るようにしたい。という目的がある。11月に二人がイスラム国に捕まったという事が分かった時に、何故平和的な行動を起こさなかったのか。得意の積極的平和主義ではなく、本当の平和的手段だ。ただ傍観して、中東訪問して、事を起こした安倍氏。やれるだけの平和的手段を尽くす。国際紛争を平和的手段で解決する。平和憲法に記された、総理大臣の義務だ。にもかかわらず、一切の平和的努力をせず、土壇場まで来た事を、安倍氏はどう考えているのか。

アメリカがテロとの戦いを宣言して以来、テロはエスカレートしてきている。一向に解決の兆しはない。イラクのフセイン政権が大量破壊兵器を持っているという事で、日本の自衛隊まで巻き込まれて、派兵された。その結果フセイン政権は確かに崩壊したが、その元イラク政府軍がイスラム国の中心になっていると言う。暴力で解決できる事はない、という現実を見るべきだ。必ず、暴力の報復が起こる。暴力はエスカレートして、治まる所を知らない。アメリカはテロリストの航空機での自爆攻撃でひどい被害が起きた。その暴力に暴力を持って、テロとの戦いはエスカレートしてきた。確かにテロは許されないし、軍事力を持って抑えざる得ないときもあるだろう。しかし、世界の今の状態を見れば、収まるどころか、テロは広がるばかりである。イスラム過激派と今は言われているが、中国にもイスラム教徒はいる。暴力の連鎖はさらに広がる可能性の方が強い。

イスラム国の様な狂気の集団を作り出すのが、軍事力である。世界各国のテロリストがイスラム国に加わっていると言う。最近2人の若い女性がただ、人を殺してみたかったという理由だけで、無意味に人を殺した。2人とも学校の成績は究めて良かった人だ。人間の暗闇は深い。イスラム国に加わりたいと言う人が日本にも存在する。北海道大学の学生が、何故、イスラム国に加わりたいのかは分からないが、日本人が40名もイスラム国に居ると言う話もある。人間は暴力に憧れる所があるのだろう。世界から、多くの人間がイスラム国に加わっているらしい。暴力で解決できる事は永遠にない。どれほど無力に見えても、効果がないように見えても、平和的努力以外に世界平和の道はない。後藤氏は心温かいジャーナリストであったようだ。しかし、なぜこれほど知性のある人が、今のシリアに入国したかである。イスラム国の内実を誰よりも知っていたはずの人が、こういう事になる。何とか帰って来て欲しい。

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