縁台を作る

   


この家に越してきたときから考えていた縁台を、10年経ってやっと作った。何度か取り掛かろうというところまで進んだ事もあったが、何やかやで後回しになり、立ち消えになり、もう作れないのか、などと思っていた。それを昨日、ついに作った。最小限の家の半端材が沢山出ていて、縁台に丁度良い材料が出ていた。ためておいたのだが、165センチの長さの縁台が、2台取れるだけ貯まった。巾は60センチだ。2軒の軒先に突き出して外廊下のように置けば、蓮池を眺めるにもよかろう。朝から半日時間が取れたので、急に取り掛かった。何しろ時間はかけていたら延ばす事になるので、半日で2台作ってしまう予定で始めた。1時には終っていたので、4時間で出来た。速さだけならプロ並のスピードだ。板も足の角材も。すべて、この場に生えていた、檜であるという所が自慢だ。

急いで作るからと言って、すぐ壊れるものは困る。頑丈な物にしなければいけない。だから、持ち上げるのにも困るような、重いものになる。かんなは持っていないし、持っていても使えないので、作ってから紙やすりをかけて仕上げる。接合部分の木組みは一切出来ないのでない。それでも丈夫にしたいので、見苦しいが当て木の組み合わせで作る。釘よりしっかり固定できると言う事で、全てステンレスのネジくぎ。「SUS XM7 コーススレッドスクリューW 65」と書いてある。サスくぎとか呼ぶこともあるようだ。これを先日購入した、インパクトドライバーで、ガンガンとめる。これなら技術もヘッタクレモない。誰がやってもしっかり接合できる。何しろもう3年もたつ、枯れ切った、節だらけの檜だから、下手をするとねじ切れる。

見た目としては、いかにもその辺に転がっていたあまり板を、寄せ集めて作ったな、という風にしたい。事実そのとおりなのだが、そう見えるようにするにはそれはそれでデザインである。それは場合によってはこの縁台が、朝市などの飾り棚に使えないかとも考えている。この上に野菜などが並んだ時に、なかなか農家風に見栄えがして欲しいと考えての事だ。農家の縁側に、野菜が並んだ感じだ。もちろん今時、そんな縁側のある農家はめったにない。それだからこそ、縁台に郷愁がある。これも団塊世代以上の事か。感じは成功したと思う。それでも持ち運べるものでなければ意味がない。餅つきのときに周辺で座りたい。田植えのときの弁当を食べる椅子にしたい。実際にその目的に、使うことはめったにないのだが、年に一度の事に備えておきたいと、思って作る。

縁台は机と較べて難しい。体重をかけてぐらぐらゆすっても、びくともしない風にしたい。天板と同じ材の10センチ巾のものを2本通した。それに裏から天板に向けてサス釘止めだ。天板に釘が見えないでしっかり止まる。その通した板に足を止める。あてがい板を使う。この辺が不恰好だが、しっかりさせて簡単な作業となれば、これしかない。その辺に雨ざらしにしてあった板だから、形が出来たらば、サンドペーパーで汚れ落としだ。ドリルの先に付ける、円盤状のサンドペーパーがある。ゴムのあてがいがあって、案外使える。ペーパーをかければ見違えるほど立派に成る。しかしあまり完全に磨く必要はない。製材のノコメが少し見えるぐらが、農家レベルだ。出来上がったら、キヌカを塗る。こうしておけば、感じ良く古びる。日に日に色変わりして、いいグレーになる。制作費は釘代の1000円だけ。釘も板が切り終わってから、もう開いただろう店まで買いに走った泥縄方式だ。

昨日の自給作業:赤じそ、青じそ、種蒔き。草取り。トマトの植え付け。2時間。 累計時間:34時間

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