第12回 水彩画 日曜展示

   

第12回 水彩画 日曜展示







  37,「亜熱帯の木」1
  中判全紙 クラシコ・ファブリアーノ
  2020.7






  38、「亜熱帯の木」2
  中判全紙 クラシコ・ファブリアーノ
  2020.7







  39,「亜熱帯の木」3
  中判全紙 クラシコ・ファブリアーノ
  2020.7


  石垣島で最初に驚かされたことは、本土とは山の木が違うことだった。木の勢いがすごくて、たちまち人が立ち入れないように密集する。まるで密集することで、強い太陽光からお互いを守っているかのような印象を受けた。

 この自然は人間のコントロールを拒絶していて、どこか恐怖を与えるものだった。この違いを描くと言うことはなかなか難しかった。子供の頃から知っている自然というものとの根本的なちがいがある。

 絵を描こうという木には成れなかった。それでも沖縄に通い絵を描いている内に、徐々に親しんできた。最初は違いにばかり目が行っていたのだが、やはり同じ自然だなと思うことも多くなった。その頃から描いてみようかと思うようになった。

 畑のそばある樹木にやっと目が行くようになった。描いてみたくなった。学生の頃は木を描きたいという気持ちが強くて、時々描いていた。雨で濡れている葉の落ちた桜を描いた記憶がある。樹木の持つ生命観のようなものに反応していた。

 田中一村氏が奄美大島でいかにも熱帯の風物というような風景を描いた。私にはああ言うようには、石垣島の自然が見えていない。どう見えているかは絵を見て貰うしかない訳だが、一つは自然と人間の耕作の境目のような所に惹かれる。

 押し寄せる自然の力と押し返す人間の営み。この永遠にも見える自然と人間の関係性。人為が自然になったと言えるような姿に惹かれる。強い太陽の光が作り出した力強い植物相。まだ描けたとまでは言えないが、だんだんに自分の絵にして行きたいと思う。

 - 水彩画