石垣島のミサイル基地
石垣島の選挙では現職の中山市長が当選した。公明党が支持に回った時から中山氏当選は覚悟した。沖縄の選挙は最近そういう事になっている。そのことはもう受け入れるしかないことだし。石垣島のことを石垣島の人が選択した結果だ。それは大切なことだと思う。これで自衛隊のミサイル基地が出来ることだけは明確になった。中山氏はミサイル基地の実態について、敵基地攻撃能力はないものだと繰り返し主張した。つまり、中国までは届かない射程距離の短いミサイルの基地だと説明した。防衛省や、政府に確認したうえでの発言であったのだろうか。今防衛省は次の防衛計画を立てている。そこでは明確に敵基地攻撃能力を備えるとしている。そのミサイル基地は、八重山諸島から沖縄、奄美が予定されている。どうしても作りたいのであれば、無人島に作るべきだ。沖縄奄美の人々を危険にさらす必要はない。
(政府が年末の決定を目指す新たな防衛力整備の指針「防衛計画の大綱」策定に向け、自民党がまとめた提言骨子案が15日、判明した。他国の弾道ミサイル発射拠点を破壊する「敵基地反撃能力の保有の検討」を要請した。陸海空に加えて新たな防衛分野の宇宙、サイバーへの対処力を高めるとともに、空間や地域をまたいで対応する自衛隊の統合運用機能の強化を掲げた。―――東京新聞)
これは以前から言われていることで、新しいことではない。南の島に中国に向けてミサイルを配備して、アメリカとの軍事同盟を強化するという方針である。沖縄からアメリカ軍が引き上げてゆく可能性がある。その時に軍事的な対抗処置を必要と考えている。実態としては、アメリカへの自衛隊基地の提供である。米軍基地が沖縄から減っているように見せかけたいと考えているのだ。同盟国アメリカが軍事基地を共用する。沖縄の基地負担軽減を見せかけだけ作ろうという形だ。こうして中国に向かい合うように、奄美、沖縄の列島に基地を並べようとしている。これが日本の防衛計画である。しかし、与那国でも、宮古島でも、そして石垣でも、選挙の時の説明は離島防衛である。石垣島を守るためには、ミサイル基地が必要だというのだ。中国はいつ攻めてくるかもしれない。その時に石垣島を守るためには、ミサイル基地があれば対抗できるというのだ。
この言い方は明らかなウソだ。石垣島にミサイル基地があれば、もし中国が攻撃しようとするときには、まずミサイル基地を攻撃するだろう。その反撃拠点を叩いてから攻撃するに決まっている。そもそも中国が日本を攻撃するという、想定はどういう時のことであろうか。日本を中国が占領しようという事であろうか。占領して植民地にでもしようとするのだろうか。中国は覇権主義であるから、ヒットラーのように世界制覇を目論むという事であろうか。それはアベ政権が作り出した幻想に基づく想定であって、現実性の無いものだ。アベ氏得意の悪魔の証明ではないが、無いことの証明は難しい。現実の国際関係から想定するのであれば、尖閣諸島が中国によって占拠される事態である。その時日本は反撃して取り返そうという事を考えているのだろう。石垣のミサイル基地から、中国の尖閣を攻撃する船にミサイルを発射する。これはあり得る想定だろう。中国本土から石垣島のミサイル基地にミサイルが飛んでくるだろう。その前提で、中国本土のミサイル基地を攻撃できる中距離弾道ミサイルの基地を作るというのが、防衛計画だ。
間違えた想定ではないと思う。石垣に中国への反撃が可能なミサイル基地があれば、中国も尖閣の攻撃を控えるという事もあり得るだろう。しかし、尖閣諸島をそんなことまでして何故取り合いをしなければならないかが理解できない。領土問題といっても、利用価値の低い島など、人間の命に比べれば価値の低いものだ。その島の周辺海域の利権が問題であるなら、どのように権益を配分するかを両国で話し合えばいい。当たり前のことではないか。ところが話し合いを拒否しているのは日本政府である。日本の固有領土であると、一切の交渉を拒否している。そして、対中国の防衛計画を増強している。尖閣問題を解決しようとしない理由がある。日本には平和憲法があり、軍事力増強に拒絶感があるからだ。その平和憲法を改定するために、わざわざ尖閣諸島を問題化しようとしている。そして対中国へのミサイル基地である。石垣では市長選挙でミサイル基地を選択してしまった。それはこれから起こるであろうことには、石垣市民自身が責任を持たなければならないという事になる。