北朝鮮リスク

   

北朝鮮の暴発が日本の安全保障にとって、最もリスクの高いものである。何度か書いてきた。中国は安全保障上問題がない。それはロシアも同じである。日本が勝手に、憲法改定のために仮想敵国化して騒ぎ立てているに過ぎない。軍事力の強化をしたり、領域を強化したりしても、日本の安全保障の問題とは違う。近隣諸国で唯一本気でリスクを考えておかなければならない国は北朝鮮である。その理由は北朝鮮がイスラム国と同質の独裁国家特有の冒険主義を抱えているからである。この先考えておくべきことは、戦争よりテロが安全保障の対象である。大国による戦争が起こる可能性は相当に低くなっている。その北朝鮮がさらに原爆搭載のミサイルを所有したのである。韓国では核武装が国会で議論されている。韓国国民の半数以上が核武装すべきという世論調査の結果まで出て来ている。今考えなければならないことは、テロ国家に対して日本がどうするかである。

日本は先日のロケット実験の際に、迎撃命令を防衛長官が出した。石垣島の港付近に迎撃ミサイルスタッドが配備された写真が出ていた。この対応がまるで茶番のようで、まともな防衛戦略とは思えない。ロケットが上空を通過するたびに、迎撃ミサイルで対応する必要はない。本気で北朝鮮という暴発国家に対してどう対応するかである。まず中国が動かないがために、国連の制裁は一向に進まない。中国が対応しないのは、朝鮮半島が分断されていて、対立がある形の方が望ましいからである。国連で対応ができないことを見越したうえで、北朝鮮は挑発を繰り返している。朝鮮の国家分断を上手く利用して漁夫の利を得ようというのが中国の発想だろう。対立があると何が良いかと言えば、中国にみんながお願いに来る状態になる。中国の存在意義が高まる。アメリカや日本への威嚇を代わってやってくれるのだ。北朝鮮という捨て駒を上手く利用して、自分の世界での位置を確保しているのだ。

中国の武力的補助効果。それは以前はロシアがそういう形で北朝鮮をつけあがらせた結果起きた状態である。ロシアは冷戦の中で、北朝鮮を暴発国家に育てた。ロシアのやり方を今度は中国が奪ったのだ。その中国にお願いして経済封鎖をするなどという発想をすること自体無意味である。経済封鎖作戦も一つの戦略ではあるが、その効果が中国という抜け道をさらに強化している。北朝鮮にしてみれば、中国が最後の蜘蛛の糸だ。切れそうで意外に利害が一致していて切れない。解決があるとすれば、情報戦略である。北朝鮮の国民が世界の現実を知ることだろう。対立するだけでなく、あらゆる機会を利用して情報を送り込むことだ。人の往来を日本は禁止したが、何か意味があるのだろうか。正面政府がこぶしを振り上げるにしても、側面で何らかの交流を取らなければ、さらに暴発の可能性が高くなる。近隣諸国との友好関係をことこそ、安全保障の第一である。交流を深めることで友好を少しづつ模索する。

中国への経済封鎖が出来ないという事が中国との安全保障だ。日本は中国と仲良くしなければだめだ。アメリカも、EUも中国との経済は相互依存状態である。それでいて、日本が中国を仮想敵国としている状態に導かれるとしたら、理由は憲法改定にある。北朝鮮の国民が貧困にあえいでいるという宣伝報道も嘘である。貧しいとはいえ自給的にそこそこの暮らしはしているとみていた方が良い。北朝鮮問題を解決しようとするなら、中国と友好関係を構築するところから入るべきだ。仮想敵国の中国に期待するなどというのは矛盾であろう。中国にケンカを売ったのは日本である。尖閣諸島を東京都知事の石原慎太郎が買い取ると言い出した事が発端である。日本が持つべき目標はアメリカの51番の州にしてもらう事ではなく、EUモデルのような、東アジアの経済連携地域である。それを嫌がるアメリカが、無理やり日本をTPPに巻き込んだのだ。アメリカの言いなりの安倍政権も仮想敵国中国を憲法改定の材料にするため、アメリカのお先棒を担いでいるのだ。

 

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