タングドラム3
大型タングドラム7号。横に75センチある。天板はパドックで厚さが23ミリくらい。音に奥行きがある。余韻が深い。木を敲いている感触がある。相当目的に近づいてきた。
タングドラムをその後7号、8号と作った。音楽をやられている方にも敲いてみてもらい、改良を重ねている。まず検討材料であるボックスについていくつか分かったことがある。さらに、課題も見えて生きた。ボックスは底板がなければならないという事はまず当たり前だが確認した。しかもこの底板の厚みや硬さは音の大きさや反響の調子に大きな影響があるという事がわかった。次に、箱の大きさは天板のサイズに合わせて、高さをどれくらいにするかであるが、今のところ天板の巾程度が良いようだとわかってきた。箱の高さを55センチある物を作ってみた。ところが全く駄目だった。そこで徐々に低くしてゆき、20センチくらいになると、音が響きだした。13センチでも音は響くようだが、一番良い高さがどのくらいになるかまでははっきりしないが、天板が15センチ巾なら15センチというくらいのようだ。
地元の白樫材で実験的に作っているもの。2016,2,19日伐採、制作は20日生木である。重量1800グラム。経過観察をするつもりだ。25日現在で1700グラム。かなり反ってきた、割れてはいない。横の穴は構成の美しさもあるが、木の揺れを増やすためでもある。
箱の材質が次の課題である。箱は15ミリベニヤでも可能である。但し底板だけは硬い方が響きがよくなるようなので無垢板が良いかと思われる。ラワン材20ミリ厚、桜材25ミリ厚、ケヤキ25ミリ厚、と作ってみた。むしろ板の厚さに音が影響されるようだ。敲くと箱全体が振動するのがわかる。三線の箱胴と同じであるが、三線なら箱胴の上下は蛇皮で側面がケヤキの刳りぬきになっている。三線では上面の蛇皮は強く張り、裏面は少し緩く張るという事らしい。底の板が薄いベニヤの場合どうなるかも検討したがだめであった。25ミリあるケヤキの板で全体を作ったものが、今のところ一番良い音がしている。今制作中のものは、ケヤキの20ミリ板で箱全体を組んで見ている。次の予定では箱全体を楠で作ろうと考えている。タングドラムは素朴な木を敲く音を失わない方が魅力がある。木魚的な木材を敲いたという反響を期待している。
天板の材質が音に一番影響を与える。三線の竿と同じで、硬い木ほど音の音色は澄んだ音色になる。雑味がなくなる。たぶん周波数的に出る音が限定されてくるのではないだろうか。木琴に使われるような材で作るのが普通にはいいようである。黒檀、花梨、パドック、ローズウッド、紫檀というような硬い木なら大体良い音がする。もちろん音の好みもあるが、木の比重が高くなり水に沈むような材ならば、音は金属的なものになってゆく。それが0,5程度の楠までくると木魚のような柔らかなリズムを兼ね出るようなものになる。ケヤキなどでもそれなりに面白い音のものが出来た。結論としては、天板は硬めの木の良く乾燥したものであれば、音の好みで何でも使える。天板の幅は15センチから30センチくらいまで。15センチ以下では楽器としては面白くないようだ。長さは40センチから50センチまでが一般的であろう。硬い木になるに従い長めにした方が良い。15センチ幅あれば、スリット4本を入れて、7音くらいが作れる。上手く音が配置されればドラム楽器という感じになる。天板の厚みは15ミリ~25ミリくらい。厚いい他の場合天板は大きくした方が良い。
30センチ幅の木であれば、8本のスリットを入れて、14音が作れることになり、2オクターブの音階をつくることも可能になる。スリットの幅は3センチ以下になると敲きにくいものになる。根元だけを細くするように穴をあけてみた。3,5センチとして25センチの舌の幅になる。舌の長さ半分にすると、音は二オクターブ高くなる。スリットの幅を同じにした場合である。微調整は裏側から木の厚さを調整すれば可能になる。先の方を薄くすれば、高音になり、根元を薄くすれば低音になる。まだ音階の有る物は作ったことはないが、それなら木琴の方が良いだろうという事になると考えている。むしろ音の配置を工夫して、ドラムという考えを強調した方が良い。その為には6音あれば十分でないかと考えている。ドラムという考えで行くと、時に側面を敲くという事を想定したい。太鼓でも時に縁を敲いて調子を入れる。異質の音が入ることで多様なリズムが作れるのではないか。これも次の課題である。