石垣島の自衛隊基地

   

政府および、防衛省は石垣島に自衛隊基地を作ろうとしている。私が石垣島に行った同時期に、防衛省から石垣市に対して、その要請が行われた。石垣島の中心をなす於茂登岳前西方面一帯という事である。宮古島、与那国島、に続いて、石垣島にも基地を作ろうという事である。石垣島に基地を作る目的は、仮想敵国中国に対する抑止力という事であろう。尖閣諸島のある石垣島である。安倍氏を傀儡とする、最後の日本の保守勢力のあがきの思惑である。着々と緊張を高めている戦略なのであろう。こんなことが、果たして日本の防衛強化になるのかどうか。冷静に分析をする必要がある。石垣島自衛隊配備推進協議会によれば「自衛隊の配備によりあらゆる脅威から市民の生命財産を守ることができ、わが国の切れ目のない安全保障体制が構築される」ということである。確かに、拡張主義の中国の最近の動向からすれば、国境の島々に暮らす人たちの不安が強まっていることは確かであろう。

第2次大戦時においては、石垣島は米軍の飛び越えた島である。日本と戦争をする際に、どう攻撃すれば有効であるか考えるのは当たり前のことである。石垣島に軍事基地があれば、間違いなく攻撃をするであろう。もし基地がない場合、石垣島とかかわる可能性は相当に低いはずだ。石垣島を占領しよう、あるいは冒険主義によって、上陸してくる、中国の漁民兵が万が一あったとして、その時に自衛隊基地があるから、安心であるという気持ちは理解できる。しかし、その上陸した中国兵は間違いなく、沖縄の米軍やら自衛隊から、総攻撃に合うことになる。どうせ愚かな戦争なのだから、どんなバカな冒険主義もありうるとしなければならないが、石垣一島を攻撃するような、上陸作戦を中国が行うとは思えない。ミサイルで、石垣を攻撃するという可能性はある。それは、石垣島の住民を攻撃するというより、石垣島の自衛隊基地をミサイル攻撃するという可能性が高いのだろう。

つまり、石垣に自衛隊基地を作る主たる目的は、日本の防衛全体の問題である。石垣の市民のためではないのだ。石垣にとっては、基地がない方が安全という事も考えられる。石垣に自衛隊のミサイル基地が配備されていれば、中国本土をのどもとで脅していることができる。もし日本本土に攻撃があれば、多方向から反撃をできる体制を構築しようという事なのだろう。その意味では、北海道からだって、東京からだって、反撃に関しては同じである。近いから、有効というより、潜水艦からの攻撃の方がさらに有効という事になるのだろう。ミサイルの発射位置はわからない方が有利なのだ。全くの素人考えであるのは確かだが、もう安倍氏の暴走の前では、普通の人間が防衛戦略に騙されないようにしなければならない状況になっている。石垣に自衛隊基地を作る主たる目的は、中国への脅しである。緊張を高めたい。緊張を高めれば、憲法の改定ができるかもしれないという、自民党の一貫した意図に基づいている。

いずれにしても判断は石垣市民が行うべきだ。於茂登岳は石垣の最も大切な山だ。この山があるから、石垣島は豊かな水のある島になった。水があるから、お米を作れば島民が食べて有り余るほどの生産量があったのだ。石垣島は世界一の農業遺産の島である。循環する自然を持つ島である。この島の在り方は、この先世界の自然環境が衰退するであろう中で、年々その価値が高まるはずである。人間がどのように自然と調和して生きることができるのかを、島全体が示している。この島での暮らしは人間にとっての十分とは何かをよく示している。この最も重要な意味を持つ於茂登岳一帯を、自衛隊基地にしてしまうという事は、すべてを台無しにするという事になりかねないだろう。何も自然そのものを残すことが一番というのではない、石垣島の特性を生かし、この先の世界の変化を考えたうえで、方向を定める必要があるという事だ。しかし、その判断は石垣島の市民自身が判断すべきことだ。

 - Peace Cafe