放射能汚染水の問題

   

福島原発では放射の汚染水に処理がめどがつかない。原子炉が崩壊し、そこに地下水が流れ込んでいる。東電によると、「毎日、1~4号機建屋周りの地下水は,山側から約800m3/日程度の地下水が流れ込み,このうち建屋内へ約400m3/日流入し,残りの約400m3/日が海域へ流出しているものと想定される。」まあ想定外がままある事だから、正確な所は分からないだろう。この地下水の流入を止めると言うのが凍土壁である。準備は進んでいるが、地下水が止まるのか、前回の排水溝は凍土壁では止まらなかったわけだから、また失敗になるのかは、未知数である。現状では膨大な量の汚染水を汲み出してタンクに貯めている。アルプスと言う浄化装置で、トリチウム以外は取り除けるということだが、トリチウムは世界中どこでも、処理の方法が無いので海洋投棄だそうだ。それが国際基準だから、福島でも行うと言うことのようだ。トリチウムの安全性は確認されていない。つまり原発は、廃棄物処理のできていない、未成熟の技術なのだ。

セシウムが1リットルあたり1ベクレル未満の水を海に流す事を、原子力規制委員会は、「適切な排水管理が担保されている」として、認可した。このセシューム1ベクレルの水と言うのは、私の感覚ではかなり高い感じがする。国の基準では食品のセシュームの残留は100ベクレルと言う事になっている。子供であれば、10ベクレル以下と言うのが、考えている基準だ。もし、1ベクレルの水を飲み続ける魚がいたとすれば、生体濃縮が起こり、100ベクレルを越えるに違いない。勿論そんな魚はいないとは思うが、貝などではどうだろうか。多分、海底に居る生物なら、海草を含めて、かなり高くなる数値に思える。放射能は消えるのではなく、海の一定の場所に蓄積されて行く可能性が高い。4年と言う時間が立ち、世間の関心が薄れてくるに伴い、基準も徐々に甘くなってきているのではないか。安倍氏のマインドコントロールである、汚染水はコントロール下にある発言は罪深い。

昨年5月頃東電が出した目標としている地下水に関する基準は、セシウム134が1リットルあたり1ベクレル、セシウム137が1ベクレル、ベータ線を出す放射性物質全体が5ベクレルとしていた。以前水の放射能濃度をどうしたら分析できるのか、努力したことがあったが、とても難しい。今回のデーターではどういう手法だったのだろうか。1リットル当たりの最大値はトリチウムは240ベクレル、セシウム134は0.022ベクレル、セシウム137は0.047ベクレル。貴重なデーターである。現状では取水口周辺では1リットル当たり100ベクレルのセシュームが検出されている。港湾内での海水の濃度は100ベクレル程度で横ばいである。港湾の水が1リットル100ベクレルで安定しているという事は、どんどん流れ込んでいる汚染水の放射能はどこに行くのだろう。海底によどみ泥に吸着して行くのか。それとも外洋に流れ出て行くのか。

福島原発では8000人の人達が、事故対応を続けている。それでも、30年から50年かかると言う、長い道のりである。4つの老朽化した原子炉の廃炉が決まった。当然のことだ。40年が原子炉の耐用年数と決めて作ったものだ。40年経ったら廃炉にするのは当たり前だ。これを安全対策を行ったから、まだ使えると言うのでは、建設時の約束が違うことになる。今行うべき事は、事故の徹底した検証である。本当に地震では原子炉の配管等壊れなかったのか。まだ大きな疑問が残る。東電は高濃度の汚染水が、建屋屋上より流れ出ていた事を把握していたにもかかわらず、公表もしない。対策もしない。これは違法行為であろう。誰かが責任を取るのが当たり前のことだ。口先でごまかし、頭を下げれば済むという問題ではない。

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