自民党とTPP

   

自民党という政党は、本音と建前の使い分けの巧みな政党である。自民党議員の大半はTPP反対で当選してきている。農協の集計では、選挙前200名は反対を表明していたはずである。しかし、安倍政権はどことなくTPP推進を匂わせて、アドバルーンを上げている。これからの経過を見ていれば、安倍政権の農業に対する考えが見えてくる。自民党支持者というのは、政治とはそんなものだという、大人的割り切りがある。原理主義者ではないということだろう。長いものには巻かれろ的な、諦めの境地という場合も多いのだろう。だから、農協の運営委員として、TPP反対の署名に回れば、拒否する家は無かった。みんながやるのだから一応やるのが決まり。1軒当たり10名お願いしますという署名である。地元の自民党議員にお願いをする。

この一応の農家の集合体はまだまだ生きている。当選したので、TPP推進派に変わると言う訳にもいかない。そこで、一応交渉には参加してみてはどうだろう。農業分野の関税撤廃などというのが出てきたら、即止めればいいのだから。交渉もしてみない内から、農業は関税撤廃などと決めつけるのは、おかしいだろう。選挙前から安倍氏のTPPに対する意見は、巧みに不明確であった。交渉してみてダメなら辞めればいい。まあまあ、ここは先生の立場もあるから、一応の交渉参加までは認めよう、などというあいまいな妥協になる可能性もある。戸別補償も止められない。そうして、TPPの協議に参加すると、参加すれば日本の輸出はこんなに改善される。特別枠で、補助を様々付けるようにしますので、何かご要望はないでしょうか。TPP参加についての議論が、こんな風に推移することが想像される。私の邪推だろうか。

その結果どういう事が起こるか。国にはお金がないのだ。また借金をするのだろうか。農業分野が産業として、自己矛盾を起こすような、つぎはぎだらけの補助金を増やして、農業はますますいびつになる。経営不利地帯の日本の農業は滅びて行く可能性が高い。安定した長期的な共通ルールを作らなければならない。政府が変わって制度が変わる。これでは就農など出来ない。平等に競争すると言うのは、そもそも国家間では不可能である。経済競争におけるルールは大きいもの強いものが有利になるように出来ている。決して公平なルールなどない。農業では歴史的条件、文化的条件、環境条件が異なる場合。勝利者は決まっている。サトウキビ栽培を沖縄と北海道で行えば、沖縄が当然有利である。それを同じルールでの平等の競争と言われても困る。北海道なら、テンサイを作る以外ない。しかし、日本以外で作る方が、さらに生産性が高い。

それではどうやって瑞穂の国を守るのか。政府がまずやらなければならないことは、食糧自給を必ず守ると言う意思を、国民に向け、世界に向けて表明すること。国内に対しては農地法を変えることだ。農業者が暮らして行ける条件が無ければ、農業者が減るだけである。食糧自給を国是にしてもらいたい。瑞穂の国の資本主義としては当然であろう。

1、農産物、農業者に対する補助金はやめる。
2、農業をやりたいものには、一定の地域の農地を国の責任で貸す。
3、その為に守るべき農村環境の地域設定をする。放棄されてゆく農地を上手く国が運用すること。
4、農村保全地域で農地が放棄される場合、国が所有を進める。
5、保全地域で耕作したいものには、農地は耕作している間は貸与される。
6、中山間地にまとまった新規就農者の受け入れ地域設定をする。

瑞穂の国の資本主義では、農業で利益を上げるのでなく、農業を生きがいにする人を生み出すもののはずだ。既存の農家を維持すると言う事と、新しい生き方としての農業は、考え方に開きが大きすぎる。別のこととしてとらえなければ展望が見つけられない。その為には、新規就農者の入植地域をまとめて作り、その地域では普通に働けば、生きてはいける環境的条件を整える。

 - Peace Cafe