放射能測定法
放射能濃度の測定法はばらつきが大きい。大まかに言えば、政府や原発関係機関から出て来る値が低い。市民レベルでの測定は、高い値が出て大騒ぎに成りがちである。測定法に統一が無い為に混乱が起きている。政府の考えている空間線量の測定法は、「1〇メートル以上」か、「屋上から3メートル以上」との指針。放射能は海外から飛んでくるものと想定していた為だろう。これではさすがに生活レベルの放射能汚染には対応できないというので、神奈川県の行う小田原測定は、地上1メートルに決めている。多くの研究者からの声で、地上1メートルにしようというデーターも増えてきているので、是非ともこのやり方に統一してもらいたい。個人が線量計ではかる場合、地上にくっつけるように測定している映像を良く見る。そして、極めて高いというような理解に成ることもある。空間放射能線量は生活への影響を見極めるものだから、1メートルに統一する必要がある。
土壌の放射能測定の場合もっと深刻なばらつきがある。国の土壌の測定法は、5センチの表土を剥がして、その下15センチの土壌を採って測定するというのである。農水省の今回の事故に伴う測定法は、土壌表面から15センチということのようだ。しかし土壌に草が生えていなければ、ある程度は正確な値が出るだろう。しかし、草地となると草の吸収分はわかりにくいことに成る。また、耕転してしまった土壌でも当然低く出る。広島大学の研究では、表土5センチに90%の放射性物質は存在するとされている。緊急に土壌採取法の統一が必要である。生活レベルでの不安は表土の汚染状態である。表土測定と、15センチ測定と、表土を取り去った測定と、分けて考える。報道の危険な表現は、結果の数値だけを測定法抜きに、書いてしまう。これでは不安だけを増幅するので、迂闊に数値の公表が出来なくなる。
もう一つは、水の影響である。コンクリートであれば、表面の放射能は流されてゆく。そこは放射能濃度の低い場所に成る。雨どいの浸透舛のような水の流れて溜まったところは高濃度に成るだろう。汚泥はそうとう高濃度に成っている。しかも、セシュウムは水溶性だということだから、流れて結局は海に行く量も多いことだろう。土壌中では、ミネラルや土自体に結びついて、あまり動かないものでもあるらしい。1960年からのセシュウムの減少幅は案外に少ない。空間線量では、どのくらいが許容範囲か。年間1ミリシーベルトというものが出てきた。20ミリからの突然の文部省の変更である。当然必要なことであった。これは自然放射線による被ばくに加えてという意味と考えるのだろうか。日本列島の自然放射線レベルは、平均0,11マイクロシーベルト/時間となっている。小田原での数値は、0,05マイクロシーベルト当たりが出ていて、平常な値となっている。ところが同じ場所を持参の線量計で測定すると、0,12前後となる。何故なのか。やっとこの意味が今回分かった。国は、全放射能を測定しているのでなく。ガンマー線を測定しているのだそうだ。
今必要なことは、市民レベルで現状を科学的に正しく把握する。そしてもし高濃度のポイントがあれば、東電なり、政府なりに通報して、測定をお願いする。それをやらさせなければならない。その上で、対策を考える。原発の事故対応に日本人の劣化を見る。肝心の水の注入をしていたのかどうかすら、政府が把握すら出来ない。到底原発などコントロールする能力はない。こういう中で、測定の結果は、科学的事実だからと言っても、即公表できる状態ではない。今日農の会では、広くあしがら平野を測定してみる予定である。そして、地域差があるのか。大まかな汚染の濃度を把握する。もし、必要な地点があれば、行政にそれを連絡し、測定してくれるようにお願いしたい。こうした行為自体が、事の鎮静化を望んでいる農業者からしてみれば、不満かもしれないが。実態を科学的に把握することからすべてが始まる。