地価の下落

   

地価は下がり続けている。09年1月と比較で全国2万7410地点の99・6%がマイナスで、下落地点の割合は1970年の調査開始以来最大となった。商業地の地価は都市部の不振を要因に調査開始以来最低の水準で、ピークの91年の4分の1に近い。住宅地も83年ごろのレベルとなった。東京、名古屋、大阪の三大都市圏を除く地方圏は、人口減少などを背景に商業地が5・3%、住宅地が3・8%のマイナスでいずれも18年連続で下落した。公示価格は2人以上の不動産鑑定士が特別な事情を取り除いた、有効利用更地価格を算出している。土地取引の目安にする価格である。土地価格は経済の実態を表わしているので、注目している。土地価格は底を打ったとか、言うような情報が良く表れる。そうあればいいという、マンション業者などの希望的推測情報である。底はまだまだのようだ。70年以来最低の価格と言う事は物価の変動を考えると、40年前の半分以下の価格と言う事だろう。

いよいよ大変な時代に突入していると言うことが表れた数字である。金融崩壊以上の、大きな経済破綻が近づいている。今は、一時の静寂のようなものだ。今までも、正直私の経済予測はことごとくはずれてきたので、はずれてくれる事を祈るばかりである。経済はどん詰まりにきているとしか思えない。アメリカのあがきが、日に日に強まっている。オバマ大統領に起死回生を願ったアメリカだったが、やはり、どうもだめなように感じる。アメリカの焦りの姿はいよいよの深刻さを感じる。アメリカ中心とした経済支配体制の崩壊。それに依存して成立してきた、EU、及び、日本の経済的連鎖崩壊。世界の経済の枠組みが変わるのだろう。それは、旧ロシア圏の経済後退に近い形で、自由主義経済圏の60年間の支配が終わる時なのではないだろうか。

これからはアジア経済の時代と言われる。一方に地域の時代とも言われる。実に相反した経済展望なのだ。中には、地域の産物を中国市場に販売する事を、両者の両立と展望する、矛盾に満ちた発想もよくある。地域の時代とは、循環型経済の模索だ。アジア市場への輸出というのは、外部経済依存である。都合よくいいとこ取りは出来ない。アジアの発展途上の不安定な市場を対象にした経済とは、一種の博打的経済である。大儲けもできるが、大損もする。生産という側から考えたら、馬鹿げた市場である。生産の正当な評価とは別な所で成立するような、要因が多分にある。言ってみれば、中国の富裕層を対象に、卵を作れば儲かるからと言われても、やる気にはなれない。やはり、いくらギリギリ経営でも、近隣の人が食べてくれるものを作りたい。

土地価格が使用価格に近づいている。健全な事だと思う。投機的要素が土地価格には付きまとってきた。底に日本人の伝統的な、家制度的な発想が絡み付いて、土地即財産と言う感覚があった。使用価値とは別の所で、土地の価格は動いてきた。住宅価格でさえ、上がるのかもしれないと言う思惑含みで作られた。農地については、そのような価格で購入しては、営農は不可能と言う価格になった。購入する人の思惑は、残っている投機的期待感だ。今徐々に使える価格に近づいているが、まだまだである。小田原の2005ねんの耕作地は2,000ヘクタールを切っている。本来的には5,500ヘクタール以上の農地があった。もちろん工場や宅地になった所もあるが、山に戻ってしまったところも多い。使用価値がほとんど無いというのが農地の実態である。農地の個人所有を止める事が、解決に繋がるかもしれない。

 - 地域