橙:ダイダイマーマレード

   


まごのりさんからダイダイを、戴いた。山ほど戴いた。以前から、マーマレードはダイダイが一番。と話は聞いていた。その機会が、ついに来た。実践のチャンス。早速、やってみた。臭いをかいだり、切って舐めてみたりしたが、やはり、苦味を上手く取るのが、コツのようだ。苦い味のないマーマレードは、これも味気ないものだが。苦味の強すぎるのが、私のクセのようなものだ。今回は出来る限り、苦味を取り除く、ぞ、と始める。先ず2時間丸のままゆでる。あまり火を強めると、破けてしまうので、弱火で煮続ける。出来上がったら、そのまま、冷水で24時間置いた。いろいろのやり方があるだろうが、皮が堅目の柑橘のばあい、夏みかんもそうだが、そのまま丸でまず、煮たらいいようだ。後の始末が楽でいい。水から取り出したら、手で簡単に割れるので、鍋の上で割りながら、中の果肉を取り出し、鍋に貯める。皮は4分の1程度に切る。そして内側のスポンジ状の白皮を爪で抉り取る。柔らかいから、簡単にこそげる。

そうして、出来る限り薄くスライスする。ここがポイント。薄くすれば、苦味の元の油分が出やすくなる。スライスしたら又水に晒す。今度は1時間程度でいい。手で握って水を絞りきる。この時も苦味が流れ出る。そうしたらこのスライスダイダイを計量する。この半分弱の重さが、砂糖の量になる。鍋にとってあった、果肉と果汁にスライスしたダイダイを混ぜる。そこに砂糖を加える。砂糖は私は全て黒砂糖を使うが、これもあくがあるので、大人の味になってしまう。好み次第で、グラニュー糖などお子様向きにした方が、喜ばれる。後は煮詰めてゆくだけ。果肉を潰すようにしていると、種が出てくる。種はしばらく煮たら、取り出しながら、かき混ぜる。種がマーマレードの粘度を出す。種は、コップにとっておいて、お湯で割って飲むべし。内袋の皮は取り出せば、一見良さげだが、かまわずかき回していれば、さして気にならなくなる。内皮は評価は高い。出来る限り全部を食べるきること。既に柔らかいので、1時間以内で完成する。
これで苦味のほとんどないマーマレードに成った。後は好みで、どの部分を変えて、苦味を加えるか。反省としては、今度は白いうち皮をこそがないで見たい。

『古事記』『日本書紀』に記載されている、田道間守(たじまのもり)が垂仁天皇の命により常世(とこよ)の国から持ち帰った、不老長寿のための非時香菓(ときじぐのかぐのみ)は本種であろうという説がある。品種では臭橙(しゅうとう)と座橙(ざだいだい)が名高い。前者は別名をカブスとよび、後者よりマーマレードが作りやすい。ザダイダイの果実は採取しなければ、同一樹上に3年間の果実をつける。この場合、初夏に白い花が咲き、冬に橙色の果実が実るが、最初の冬に橙色になった果実は、翌夏、緑色にかえるいわゆる回青現象を示す。このため(カイセイトウ)の別名がある。
臭橙と座橙では、植物の性格からも、品種の違いと言っても、別種と考えた方がいいようだ。味覚的には、さすがにダイダイが一番といわれるだけの事はある。風格のある滋味がある。金柑に近い。ただし、コントロールは難しい。栽培品と言っても、それは古くからのもので、野生的なものであろう。野生は滋味は強いが、クセも強い。

醸造酢が安価に作られるようになるまでは、一般の酢としては、むしろダイダイの果汁が使われていた。風引きの際に、お湯で割って使うと思われがちだが、消化不要の際もいいとある。種は干して粉にして、目のクマに塗るとあるが、獱(ヒン)と同時に食べると、良くないともある。: 本文の注にいう、「獱はすなわち水獺(かわうそ)の属である」。かわうそと合わせ食いをする可能性はないので、これは心配はないだろう。

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