食べ物は自己責任

   

全ての生産物が、作った人の責任であることは当然の事だ。自動車に欠陥があれば、作った自動車会社が責任を持って直す。私が描いた絵が、顰蹙を買うような物であれば、それは全責任を負わなければならない。倫理の問題だ。ところがあえて、食べ物はそうじゃない方がいい。と発言を続けてきた。例えば、中国のダンボール肉まん。あれは思い出すだけで、梅干のような効果がある。口の中でダンボールが、ぎゅうぎゅういう。ミートホープのひき肉。こんな派手な事件なら、誰もが大騒ぎするが、日本政府が使っていいよ。食べても平気。こう保証している物でも、私には食べたくない物が、それは山ほどある。実際それが原因で、身体を壊した経験もある。食べ物はすべからく、自己責任。タバコやお酒と同じ。

私は卵を長年生産者として販売してきた。たぶん卵の生産の実態を、一般の人より知っている。その結果、自分の家の卵しか、できる限り食べないようにしたいと考えている。食べ物の生産現場に近い人に成ると、そういう例はいくらでもある。良く聞くのが、野菜の生産農家の人が、自分の家の野菜は農薬をかけないで別に作る。生産現場の実態は、正直とんでもない状態がある。それをとんでもないとは考えていないのが、政府だ。だから、これは安全ですよ。そう保証されても、私は信じないのだ。当然、いつかは政府の方針を変えなければならない。それまでの間は自分で確認しない限り、安心は出来ない。それでも、もちろん自分で作った以外のものも沢山食べている。気おつけていても怪しいものを、年がら年中食べている。でも怪しいものを食べる時、これでおかしくなるとしても、これは自分の責任だと考えている。

中国食品のネガティブキャンペーンを、アメリカが盛んにやっている。チャイナフリーの表示はすごい。当然日本も指導されてか、真似してか、やっている。うなぎで、抗菌剤が見つかった。今度は鯖だ。あの鯖が、例えば、久野で加工されて、しめさばで売られれば、分かりやしない。そうじゃない。金魚を飼ってみればいい。病気をすぐする。魚を飼育した経験があれば、養殖がどれほど困難かが分かる。薬を使う。許された薬が自然界に何を起こすか。鯉ヘルペスが一時大騒ぎになった。鳥インフルエンザと同根。ともかく、養殖の実態を想像して、私は出来る限り養殖魚は食べない。中国を槍玉に挙げても、日本もたいした違いはない。使っていい薬を使うだけだ。使っていいかどうかの判断が怪しい。前は良かったけど、後から使っては駄目になる薬がある。逆ならまだ分かるが。

おかしな醤油を平気で使っていた人が居た。食べ物が、悪くなる。置いておけば食べれなくなる。その認識がない人が、増えているのだ。その醤油は永遠に腐敗はしない。冷蔵庫のない時代は、食べ物の判断が大変だった。いつでも臭いをかいで、食べて見て、慎重なものだった。今はどこかで誰かが判断してくれているというので、賞味期限を見ただけで、すぐ口に持っていってしまう。自己判断能力が人間から失われてしまった。もう一つの自己責任は、生き物としての人間は食べ物を自ら作る。これが本来だという思いがある。食べ物の生産を人任せにしない。本来自分が作る所を、特別に作っていただいているのだから、せめて生産現場まで足を運び、確認し、自己責任で判断する。そのぐらいの食べ物への努力が、必要じゃないだろうか。

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