カレー屋さん
カレーは好きな食べ物の一つだ。自分でも作るし、良くお店でも食べる。たぶんおいしいものは食べられないな、と思える初めての場所では、カレーを注文する。まずくても何とか食べれるからだ。まずい蕎麦とか、まずいラーメンとか、こういうものは食べるのが苦痛と言う程すごい場合がある。その点、カレーはまずいなと思っても何とかいける。大体がそうまずくは作れない。小田原で一番おいしいカレーは、葡萄舎の海の幸カレーだ。3年ほど前は、日本一おいしいと思っていたのだが、どうも香辛料が変わって、小田原でが付くようになった。それでも月に一回は食べたくなる。こういう誰でもそこそこの物が作れる中で、さすがと言う物を作れるのは、料理人の味の感覚が、相当にすぐれているのだと思う。そう思い込んだもので、葡萄舎には10年以上行っているが、海の幸カレー以外は注文したことがない。
ところが、その葡萄舎があしがら平野で2番になった。この一番が、なんとも店と言ったらいいのかどうか。絶対に発見できないような、隠れた店なのだ。隠れたと言うのは、殆ど知り合い以外は食べたことがないだろうという店なのだ。私はたまたま知り合いなもので、食べることができた。至高のカレーだ。これ以上のカレーは、インドにも少ないだろう。とすると、あしがら平野どころか、世界でと言ってもいいのか。このカレーは日本人が作っている。だから、日本人にトッテというのをつけたほうが良いだろう。日本人とは書いたが、アジアの放浪の途上、あしがらに流れ着いたと書いたほうが正確だ。だから、と言ったらいいのか、ミュージシャンだ。何しろ、店に人が来たら、一緒にセッションしようと言う算段なのだ。
ここのカレーの良さは、甘さだ。カレーだから辛い事は辛いのだが、その中にある甘さが絶妙だ。チョコレートを入れるとか、ココナッツミルクで甘さを出す。そんなやり方もあるが、これが、微妙に違う。何か香辛料が違う。そこまでは私レベルでは分析は無理だ。これが分かる人には、是非教えてもらいたい位だが、めったに食べた事のある人がいないので無理だ。お店は、土曜と、日曜以外はやっていないのだ。それも本当にやっているのか、と不安になる店なのだ。看板も当然にないし、見た所は、普通の、いや、今や普通でなくなった、昭和の民家だ。こんな家も少なくなった。縁側があって、古い柱の目立つ家だ。ちょっと傾いている、そういう風でもないのか、やっぱり傾いてはいるのだろう。確かにあんな家は昔はあった。ごろんと畳で寝転べば、建設中の東京タワーが見えてくる。
それがカレーしかない。チャイとコーヒーはあったが、他にはない。殆ど自慢のカレーを人に食べさせたいから、開いたと言ったほうがいい。アジアの片隅に日本があって、どこにでもこうした優しい若者が、暮していて、どこへやらの途上なのだろう。何しろ、私が知り合ったのは、キャンプ場をやりたいと言う相談だった、世界を放浪している、全ての人が、好きなだけ泊まっていられるキャンプ場を開きたい、こう言うのだ。そんなすばらしい相談には乗らずには居られないので、友達になった。それで今では一緒に田んぼまでやっている。そうあしがらも捨てたものではない。温帯モンスーン地帯だ。是非一度は尋ねて見たら、と言いたいが。場所が絶対に見つからない。どうしても尋ねて見たいという人には、メールで特別に教えます。それにしても、こんな事を考えることがすごい。