温暖化による田植えの遅延

      2016/08/10

温暖化で遅れる田植え 北陸など日本海側の米どころで、一般的だったゴールデンウィーク(GW)中の田植えを1~2週間遅くするところが増えている。地球温暖化でコシヒカリなどの品種に高温障害が広がり、その対策のため、自治体や農協が強く指導したためだ。GW中に田植えをすると、夏場の最も暑い時期に出穂を迎え、でんぷんの詰まりが悪くなる高温障害が出やすい。高温障害は4~5年前から広がり、農水省の調査によれば、遅植えに取り組んでいるのは少なくとも宮城、茨城、新潟、富山、石川、福井、長野、三重、滋賀、京都、鳥取、島根の12府県。 高温障害はお米が乳白色になり、味覚が落ちる。いわゆる1等米の比率が下がることになる。消費者の傾向がある。例えば、神奈川県の学校給食では1等米以外は使えない。

田植え時期は、近年早くなる一方だった。1ヶ月は早くなっている。50年前の伊勢湾台風のときに、水害で田んぼが壊滅し、それで早くなったと聞いたことがある。台風が来る前に収穫しようと言う事だ。もう一つは東北のやませ。秋が早く来てしまい、登熟が出来ない。それで、ビニールハウスの普及と共に、苗作りが1ヶ月早まり、冷害がなくなる。もう一つの要因が、兼業化によって、人出が豊富な、5月の連休に田植えをやれればあり難いと言う、現実もある。ところが、、また、温暖化で田植えを遅らせる流れがある。特に、このところ九州方面は作柄が悪い。これは、温暖化ばかりではなく、気候が荒っぽくなっている。大水や、台風害。さらに季節に定まりがない。

本来熱帯の植物である。稲が、北海道まで作れるようになったことは、日本人の絶え間ない努力の集積だ。稲が日本人にとっては、不可欠な物だった。それは魂にまで影響するような。重たい物だった。作れるはずのない、青森のほうの遺跡でも、古いお米が発掘される。日本人の神事には、お米がない訳にはいかなかった。無理をして無理をして、選抜して寒さに強い品種になった。ところがその結果、寒い所の方がお米がおいしいのだ。これは日本人の長年の努力に対する、ご褒美のような物で、ありがたい事だった。特に、夏場夜温が高いと、熱帯夜のように25度を越えるような夜では、澱粉の蓄積が良くないらしい。乳白米になる。そこでおいしいお米の産地は、夜涼しく、水の綺麗で温度の一定な、つまり湧き水豊富な所がおいしいと言う事になった。しかし、これはあくまでご先祖の努力のご褒美だ。

中国の人まで、日本のお米はおいしいと言うので、富裕層はキロ1000円のお米を買う。口の肥えた中国の人が言うのだから、確かにおいしいのだろう。中国でも、コシヒカリの栽培はしている。間違いなく、日本ほどおいしくは出来ない。作物は、実は水を食べている。野菜や、果物は、殆ど水だ。水がいいところのものが、おいしいに決まっている。お米は水の中で育つ物だ。水の味が決定的に影響する。日本人の料理は、素材をそのまま食べる場合が多いい。ご飯は典型だ。それでおいしいから、料理法と言うより素材しだい。凝った味付けは、必要なかったのだろう。中華ちまきと、おにぎりの違い。おいしいお米が温暖化で、危機だと言うのは、実はありえない。栽培法の努力が足りないだけだ。温暖化でどうだこうだというのは、工夫のない、農協指導のやり方が、広がっているだけだ。大体、減反だ減反だ、作ることが悪いように言われて、いいお米が出来るわけがないだろう。

 - 7月, 稲作, 農法(稲作)