中華人民共和国 5

   

参加した一つの動機は、いつも現代農業で、ご意見を読ませていただき、随分学ばせていただいた方が、多数行かれることが分かったからだ。同行の皆さんににお会いできるだけでも、またとない機会だと思った。薄上秀男氏、農業的な発酵利用の実際家。以前より、指導を戴いてきた。2種の発酵の組み合わせ飼料のヒントを戴いた。発酵の農業利用は、実践家でないとどうも感覚がずれる。小澤禎一朗氏、二本立て飼料の提唱者。と言うより、現代農業では、勢いのある文章で農村の実情を、多様な側面からの観察されていて、おもしろい。農家の税の事、集落の関係の事、分析がすごい。岸田芳朗氏、合鴨農法の学者としての支持者。岡山大学。孵化直後、水田に入れる技術は興味があった。三枝敏郎氏、木酢協会の会長。姫野祐子氏、韓国自然農業の紹介者。山下哲生氏、放牧養豚の実践家。これだけの人とお会いできる機会だ。もちろん、果樹やイチゴなど、その道の権威が沢山居られた。

一言で言えば、いずれも豪傑。豪傑が集まると言う事は、大変なことで、お世話をして下さった。農文協嘱託の張安明氏はすぐダウンした。その後、焦燥した顔で、お世話を続けてくれた。何かがあったという訳ではないと思うが、何しろ豪傑ぞろい。この間飛行機の中、バスの中、とあらゆる機会に、迷惑を省みず直接お話を聞いた。それはおもしろい話ばかりで、ひとりで聞くのはもったいないような、発想の違う、さすがと思う話の連発だった。薄上さんの言われる。3ヶ月で産卵を始め、1年365個の卵を産んだ鶏の話もおもしろかった。それを再現できる技術にすれば、と思うが、それは私の役目と言う事か。小沢さんは、度々中国に指導に来ているようで、中国の実情に詳しかった。成果も大きいようだ。しかも、全ての分析が、小澤方式で統一されて、ぶれないというか。すごい。ともかく奥が深い。ちょっとおかしなことを話されるなと思うのだが、実は奥がある。それを引き出すには、突込みが鋭くないとダメ。お話は文章以上におもしろい。岸田さんは大学の先生だけあって、中国の指導者や、普及員をずらりと並べ、「間違いを間違えと認めないのでは、進歩がない。反省し、私の考えどうりにすれば正しく進むから、改めるように。」と全体会の中で厳しく指摘した。ドキッとした。

三枝さんのお歳は、80を数年越えている。一年の3分の1は世界中を一人で旅行を続けているそうだ。最近は南米中心に回っている。農場での、三枝さんの話は終わらない、1時間30分あった。通訳が訳すのを待たないで、話され続けたので、たぶん中国の方には、分からなかったと思う。山下氏は、大分でバークシャーの放牧養豚をされていて、情報通。本場中国で、特に放牧養豚の話は苦しいがおもしろい。梅山豚を見たいと言う山下さんの希望に便乗できたのは良かった。姫野さんとは3回目だ。一回目が、江ノ島での、韓国からの自然農業の方々を迎えたレセプション、2回目が城山での県北生協の企画の養鶏場見学。趙漢珪さんとお会いする機会を作ってくれた。今回3回目で、農の会の女性の田んぼに強い関心を持たれていた。極めて聡明な方だ。視点が鋭い。優秀な女性が増えているが、その代表のような方だ。

普通の人間の笹村は、普通であるが故に余り役に立てることもなく、申し訳く小さくなって居た。中国のような巨大国に対応できるのは、やはり、豪傑である必要がある。つまりマイペース型がいいようだ。

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