時給わずか100円台

   

神戸市内の知的障碍者(害は碍を使う)の作業所が、最低賃金法に違反しているなどとして改善指導を受ける。という記事が、読売新聞に出た。どうなるか結果を見て、意見を言わせて貰いたいと思っていたが。その後の事は調べても分からないので、情報不足のまま書く。現在厚労省の白書によると、知的障碍者の平均給与は自給にすれば100円程度が実態。それでいいと考える保護者も多数居られる。神戸の作業所はどうも小規模作業所のようだ。小田原にも幾つかある。私達も、農業系の小規模作業所を模索してきたので、実情はおおよそ把握している。この新聞の記事は、この深刻な状況を、こうした無神経な形で、報道して世論を喚起しようと言う事なのだろうか。

〈1〉作業収入は必要経費を除き、障碍者に全額工賃として支払う〈2〉能力により工賃に差を設けない〈3〉出欠や作業時間、作業量などは自由で、指導監督をしない——などを条件に、労働基準法の適用を除外される。 このように決まっているようだ。
年間1,600万円の作業収入があったにも関わらず、利用者に支払っていた額は400万円だということ。作業収入から職員人件費も賄われていたことが問題として挙げられます。どうも会計処理に問題があったのは確かだ。障碍者が働いて得た収入を、職員の給与にしていたら確かにそれは違法行為だ。ではこの作業所の職員の給与はどうなっていたか。3箇所の施設で16人の障害者が働いていたらしい。それで補助金は1400万円。3施設6人の職員で対応していたとして、職員の給与の最低賃金は大丈夫だろうか。

障碍者の障碍の状態によって、仕事も多様になる。ヤマト財団の指導では、補助金など受けない自主運営の作業所を目指して、スワンベーカリーの事業を進めている。作業所に来る事ができれば、もうそれで充分という人を、小規模作業所では受け入れている。障碍レベルをバランスよく受け入れる事が、行政から指導される。それなら、補助金など受けないで、自主運営して行った方が、経営上可能と言う事も出てくる。その結果、働き手である能力の高い障碍者の引き抜きと言う事が言われる事になる。普通の事業所で働ける人は、確かに普通に働いた方が良いと思う。しかし、小規模作業所の運営を考えると、働ける人が居なくなることは、経営が難しくなる。そこで、小規模作業所を支える、親の会が無給で手伝う施設もある。

自立支援法が出来てから、小規模作業所の経営は絶望的になったと、運営されてきた方から聞いている。確かに、障碍があったとしても、社会の中で働けたほうが良い。しかし、実態は作業所に出てこれるようになるまでが、大変な事だ。どこの職員だって家まで何度も通う事になる。それだって、遅刻もすれば、早退もある。休みもある。確かに、自給100円の仕事は不自然かもしれないが、施設向きの仕事は、海外に行ってしまい、100円の仕事を探す事も難しくなっている。何もしないでいるのでは、作業所の意味が無い。仕事を出してくれているのは、その出し主の福祉的な精神に支えられと言う事が一般だと思う。読売新聞がいい仕事を出してくれれば助かる。この機会に、今作業所のおかれている、困難な状況を知ってほしいと思う。

 - Peace Cafe