地下足袋と長靴
火曜、金曜の朝の出荷には10人の越える人が集まる。多いい日は20人近く集まる。
「今日のキャベツよく出来てますね。いつごろ播いたのですか。」「稲の水は、今どの程度やってます」様々な農家の情報交換の場になっている。
Yさんが運動靴の底が又破れた。と言われる。私もそうなので、安いのだから、破れる当然なのだけど、高くたって、どうせすぐダメになるから、高いのは買えないという話になる。
今の靴は相当高くても、直せないと言う話になる。安くてせいぜい丈夫そうな靴しか買わない事にしている。持っている靴で高い物はClarksの靴だ。この時は、何故か高い物を買って、大切に直して使えばいいと思った。それの方が、いいくらしだと思った。靴底が痛んできたので、高校生の時以来、久方振りに靴底直しに出す事にした。
所が、靴やさんに持ってゆくと、直せる事は直せるけど、あまりお勧めできないと言う。それで、靴直しの専門のお店に見せると、これははっきりとやらないといわれてしまう。確かに私のはき方が荒いと言う事はあるが、ウォーキングタイプは直せないと言う。底がゴムだから、これを削ってゴムを貼るのでは大変だと言うのだ。
確かに高校生のときの革靴は皮底で、糸で縫いつけてあった。
それでもう一度靴屋さんに戻り、直して見てもらえないかと頼んでみる。それではメーカーに、先ず出してみましょうと言う事になる。1週間ほどして電話があり、2万円だそうだが、本当に直すのかと言う。この靴は4万円以上したので、相当、考えた末、お願いする事にした。靴屋さんが言うには、2万円の物を買い換えた方がいいと言うのだ。それから1ヶ月ぐらいして忘れた頃、出来たというので、行ったら、1万2千円でいいと言われた。2万円は高いから、メーカーも、靴屋さんも、実費で対応してくれたそうだ。なんか靴一つであちこちに迷惑をかけた気分になった。
それ以来、やはり靴は安いものに限ると思うようになった。そう作業靴の話が書きたかった。「長靴を使っているが、年7足買った」と言う、驚く話が出る。そうだ、今の長靴はすぐ穴が開くのだ。昔、自転車のタイヤのゴムで、長靴の穴を補修した話になる。天然ゴムだったのだろう。その事を知っていたのは、Yさんと私だけだった。それでみんなの長靴比べになったのだが。
高い長靴は持ちがいいか。と言う事になる。「同じですよ。倍しても、倍は持たない。安いのを買うしかない。どうせ、自分では治せないし、」という。修理も出せない。
すると、地下足袋派が登場して、長靴で作業すると言うのがおかしいのだ。持ちが悪いのは当たり前だ。地下足袋の気持ちよさは格別だ、作業性もいいし蒸れないし、格好もいい。と力説する。私は長靴派なので、履いたり脱いだりが大変なのだ。年を取ると、こごむ姿勢が大変なのだ。と泣きを言うと、なんと、立ったまま片足を上げて履けばいいと、若者のギャクが実演入りで入る。
良く聞いてみると、地下足袋派の労働時間が長いのだ。多分履いたら、一日脱がないようだ。私のようにすぐ疲れてしまうものは、同じ作業を半日続けると言う事はめったにない。短時間はまだ頑張れるので、一気に片付ける作業を、一日の間にいくつも、混在させている。当然、靴も脱いだり、履いたり、が頻繁な事になる。その為に、長靴になっているようだ。昔長靴で作業などしたら、許されなかっただろう。
格好が本格的で農家っぽくて、いいそうなので、一度地下足袋を履いてみようか。いや、多分そこがなんか恥ずかしくて、履けなかったのだ。