旅行人

   

「旅行人」という雑誌を出されている、蔵前さんご夫妻が来宅されました。
蔵前さんが今度、家作りの本を出されると言う事で、【最小限の家】に関心を持たれたのだそうです。

蔵前さんと話していて、気付いてたのは、【最小限の家】のコンセプトの中で、まだに煮詰まっていない事が、沢山あるということでした。例えば、「屋根材をどうするのですか。」こう聞かれた時、屋根でかぼちゃを作ると言う事は、つまり、屋根は畑にするということは考えているのだけれど、屋根をどんな素材にするのかという点は、明確に成っていないことに気付いた。

ガリバリュウム鋼板を何となくイメージしていたけど。確かに、地の素材と言う考え方ならば。桧皮葺き、とかも在りえる。しかし、実用的かどうか。板葺きと言うのもあるがどうなんだろう。こだわるのも、おかしいので、廃材のトタンと言うのがそれらしいのか。など考えた。板を挽いた時のバタザイを重ねて貼ると言うのはどうだろう。

同様に「ミズ・エネルギー・電気」などもどう考えるか。具体的に、整理してゆく必要があるだろう。

蔵前さんは世界中のスラムを見てきているようで、ブルーシートハウスに自然話題が進む。日本が何でも捨てられていて、材料にそう困らないと言う事。困らないけど、差別がひどいから、暮らしにくいのは日本だろう。
ニューデリーのスラムの家は大変高いものについている。つまり、ただで落ちている物などないから、ダンボール一枚探すのに、大変苦労するらしい。そのダンボールも粗悪な物で、強度がないから、家とはとても言えない様になってしまうらしい。日本人が器用というのは、ブルーシートハウスに表現されていて、住まいの工夫にあふれている。

日本の場合、とにかくブルーシートが安く手に入るので、住宅産業の規格住宅のように、ブルーに統一化されてしまったが、これが工夫する人にとってはそう優れた素材ではないようで、すぐ太陽光で劣化して、ぼろぼろになる。ダンボールで骨組みを作り、それを、ビニールハウスの廃棄ビニールで、包んでやる方が、安定するし、耐久性もある。

そのダンボールがゴミであるからということで、勝手に行政が捨ててしまうので、これに絵を描くのだそうだ。絵を描けば、これは文化財。財産だ。これを勝手に廃棄する訳にはいかない。一応文化国家という建前だ。この絵を、関西では大阪芸大の学生達が、ボランティアで描いているらしい。この絵は志がいいから、遊びでやっている日比野先生より、面白いんじゃないか。本物のダンボールアート、「何で絵が描いてあるんだ」とは、撤去の映像で思ってはいました。もし、近くのダンボールハウスで、壁画を描いてほしい人がいたら、描きに行きますので、言って下さい。

木材は間伐材がいいか。廃材がいいか。これも難しい選択です。どちらも捨てられていて、無料。廃材は角材はいくらでもあるが、板材がない。では、角材をログに組んだらいいのか。釘を抜くのはどのくらいの手間になるのか。間伐材は4トントラック一台分で、材にする手間が、10万から15万円だそうだ。くぎ抜きに10日かかったら同じくらいだけど。いい勝負か。廃材を使った茶室が、南足柄にあるが、これが又美しい。新しい材には出ないいい雰囲気がある。要するに、あるものを上手く使えばいいわけだ。

 - 最小限の家づくり