小田原の苗代作り

   



 写真は苗代が穴あきトンネル。その左側に直播の水田。全体で2畝ほどである。品種はハルミ。気温は12度から、20度ぐらい。種籾は2週間川に下してあったもの。4月20日播種。

 
 小田原の苗代作りが始まった。20日に柿の下の種まきを行った。準備に行けないで、申し訳ない状況なのだが、今年は石垣島で成功した直播き栽培を小田原でも進めてみたいと考えている。2か所でやることで、見えてくることが多いいからだ。

  石垣ではまず充分に代掻きをする必要があった。十分に代掻きがしてないと、水の微妙な調整が出来ないからである。苗床の水管理と同じで、種籾を播いてから、2週間の間の水管理は良い苗を作るための最も重要な要素になるからだ。

 種の発芽には稲の種の性質を見極める必要がある。イネの種は酸素を必要とし、水分を必要とする。それが、発芽前後で微妙に変わる。種籾は最初に水に浸けられた時に水を含み始める。種籾は十二分に水分を吸い込む必要がある。水分量で言えば、140%~150%ぐらいになるのだろう。

 そして積算温度が100度になると発芽を始めると言われているが、これは様々書かれていることだが、実際にはその通りにはならない。例えば、12度の流れる川の水に浸けて置いた場合と、12度のプールの水に浸けて置いた場合では大きく違う。

 毎日温度の変化する水であれば、種籾はその年年で積算温度が変わる。品種によってもまた違う。今年も3週類の種籾を同じ条件の場所に付けておいたが、全く発芽の様子が違っている。実際の栽培では毎日こまめに確認をする以外にない。

 直播では鳩胸状態よりもさらに芽の出た状態で撒いた方がいい。鳩胸状態は機械まきの時に芽を痛めない状態をいうのであろうが、苗代や田んぼに直播するのであれば、もう少し芽が伸びていた方がいい。芽さえおらなければむしろ早く発芽が揃い望ましい。

 そして、直播の田んぼに蒔かれた種籾は、酸素が供給されるように田面に乗っかっている必要がある。だから田んぼには水が残っていない方がいい。理想的には水は十分にあるが、水がないという土壌の状態で、表面に蒔くのが良い。

 そして蒔いた後発芽までの1週間は、種籾に水やりをしなければならない。田んぼにゆっくりと水を入れて、全体に回ったところで、水を落としてしまう。種籾はぬれていて水没していない状態が良いからである。

 ただし以上の条件は厳密に言えばそこを目指すという事になるが、実際上は水没していたとしても発芽が上手く行くことも多い。又乾いていてもそれなりに発芽することもある。

 もう一つ問題になるのが、種籾を流してしまうほどの強い雨である。石垣島では種もみをまいた後、強い雨で種籾が流れてしまった。田んぼの土が良く出来ていて、べとついて居る状態であれば、普通程度の雨であれば大丈夫だ。

 田んぼに上手く浅く水を入れるためには平らで、水持ちがある程度良くなければ良い発芽にならない。柿の下では代掻きが難しい田んぼなので、トンボでの均しがかなり必要なはずだったと思われる。

 19日小田原の田んぼをバスから見ると、実にきれいにならされていた。夕方6時半だから、かろうじて見えたのだ。バスの中で思わず万歳を叫んだ。いや心の中で叫んだ。みんな頑張って苗代を作ってくれた。平らでないと直播は難しいという事を実践してくれている。

 今回もし小田原で成功すれば、直播という新しい稲作の省力化した方法の一歩前進になる。こうした新しい試みを、一緒になって挑戦してくれる仲間がいる。そのおかげで、稲作の技術が進歩してきたのだと思う。失敗するかもしれないことに挑戦しなければ、技術開発は出来ない。

 朝まだ水が溜まっていた。早く水を抜いておけばよかったのに、私は見たのに水を抜かなかった。うっかりした。朝も見ていたのに、そのままにしていた。なんとなく、せっかくきれいに準備してくれたものを勝手に触ることに抵抗があった。

 水を抜きながらの作業になった。苗代は2本合計22メートルぐらい。幅90センチ。穴あきビニールを被せる。70g播種を目指して播いた。計量してあるのだが、蒔いて見ると何故か見る眼では種籾がとても多かった。それで不安になり、計算し直してみるが、よく分からないので、播種量を減らしたところと、予定通りの所とを作った。

 10時から始めた種まきは、11時半に終わったのだが、まだ田んぼに水があるので、直播の部分は午後1時からやることにした。もう少し水を落としたかった。午後には線が引けるギリギリ水が無くなったので、線をひき種をまいた。

 30㎝角の線の交わった部分に種籾を3粒ずつ播いた。と言っても手が濡れているので、なかなか3粒にならないし、線の交点は弾いた時に深く溝が出来ているので、むしろ四角の真ん中に蒔いた方がいいかと思えた。足跡を均して播かなければならないのだが、その時手が泥で汚れて、実に蒔きにくくなる。

 それでも3時には播き終わる。播いた後に、梱包紐を1メートルごとに張る。バタバタして鳥が来ない。石垣島ではこれで良かったのだが、果たして、小田原ではどうなるか。これもやってみなければわからない。スズメがどう反応するかである。

 4人で作業したのだが、上手く手分けして作業が進み、さすがになれた仲間なので効率よく進んだ。共同作業の良さを改めて認識した。みんながいろいろのことに気づくので、充実した内容になって、次やる時の参考が様々えられた。

 誰が指示をするという事もなく、良い流れで進んだ。発芽まで1週間である。天候次第であるが、帰るまでに発芽してくれるだろうか。水管理を東さんにわかることをすべて伝えたい。苗代の水管理は難しいし、大切な作業である。
 

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 - あしがら農の会