次の時代の生き方に必ず役立つ自給の為の2冊の本

   


大豆畑の一つ、大豆畑はあと2つある。

 先日10年後の世界のことを書いてみた。日がたつにつれて、外れていないような気が強まっている。気候変動などほとんど対策が取られないまま、10年が経過するだろう。一国主義経済は解決できないだろう。世界の人口増加は止まらないし、日本の人口減少も止まらない。

 日本はいかにも安倍総理大臣なのだと思うようになった。私が安倍氏を嫌いなのは、安倍氏が自分の中の否定しなければならない、醜い部分を体現しているからなのだと思う。それは格好つけであり、口先だけであり、拝金主義である。

 安倍氏のことも日本のことも諦めるほかないと思うが、次の世代の人たちが、この悪くなる世界の中でどう生きるかは、厳しいものになるだろうと思う。そんなことを言っているだけでは、こんな時代にしてしまった一人として、申し訳ない限りである。

 次の社会で自分らしく生きるには自給自足的生き方ではないかと思っている。資本主義末期の社会に巻き込まれず、それぞれの生き方をするためには、自給自足的生き方だ。

 食糧の自給自足は一日2時間の労働で可能だ。極端に言えば、勤めながらでも作り出せる時間である。勤めていたとしても、自分の自由になる時間の大半を食糧自給に充てれば可能なことなのだ。

 私は30代後半に自給自足に入ったのだが、それからかなりデーターを取りながら、やってきた。機械力を使わない自給自足である。化石燃料を使わない自給自足である。今後機械力に頼る自給自足は不可能になる可能性があると考えていた。自分という体力だけでの自給自足を試みた。

 それは3年で可能になった。体力のある30代だからできたのだと思う。チェーンソウもなく。耕運機もなく、かりばらい機すらない自給自足である。70になって何故できたのだろうかと思うが、確かにできたのだ。

 その頃は、世田谷学園に週3日間勤めていた。自給自足と自然養鶏が出来るようになったらば、勤めは止めようと考えていた。その自給自足生活を人に伝えようというのが、あしがら農の会であった。

 一人の自給よりも、みんなの自給である。30年前に自給自足を始めたころ、私が死んでしまうころの日本は行き詰まると考えていた。そんな時代でも、自分らしく生きるためには自給自足しかないと考えていた。

 自給自足をやってみて、一番の課題は技術の伝承だと思った。機械を使わない農業には伝承されるべき技術が失われていた。その為に技術を自分で見つけて、残さなければならないと考えた。それが「発酵利用の自然養鶏」「小さな田んぼのイネ作り」の2冊の本に残したものである。

 自給自足をする人にはこの2冊の本は必ず役に立つ。この本に書き残した技術は直接役立たないかもしれない。農業は地域が違い、土地が違えば技術もかなり違う。今後気候が変われば、さらに違う事になるだろう。しかし、この2冊の本に書き残した考え方は参考になるはずである。

 考え方としては自給自足はみんなでやるものだという事だ。自給自足が自己満足に終わってはならないと思う。自給自足の生き方を次の人にバトンタッチすることが大切だと思う。技術は伝承されなければならない。

 一人の自給自足の半分の時間でみんなの自給は可能になる。この点、私たちの世代よりも可能性は生まれていると思う。私たちの世代は、つまらない自己主張世代で、上手く力を合わせるという事が苦手だ。しかし、若い人たちと接していると、とても調和できる才能がある。

 技術を獲得すれば、半分の時間の自給自足になる。一人の自給がみんなの自給になれば、また半分の時間の自給になる。つまり、4時間かかる自給が、1時間の自給になる。これは私の実体験である。何十年も一日の自給の為の労働時間を記録してきた結果分かったことだ。

 完成された形では一時間で自給自足が出来た。確かに、自給を完成させた人にしてみれば、みんなでやることは負担になるのかもしれない。しかし、長い目で見ることが出来れば、みんながいるからできるのだ。一人で続けている人の結果をみてみると、それはよくわかる。

 人間は人と助け合う事で、人間を深めてゆく。一人でいれば、独善になり、奇妙な歪みを持つことになる。自給が人間として豊かに生きるためのものであるにもかかわらず、自分の人格をやせ細ったものにして行く。それくらいならば、勤め人として生きた方がマシではなかろうか。と言ってもそれはやったことがないからわからないことだが。

 自給の為の本を2冊書いた。自然養鶏と田んぼだ。自給自足にこの2つの組み合わせは大切になる。実はあともう一つ、自給の為の野菜作りを書こうと考えていた。残念ながら、これは出来なかった。大豆、小麦、タマネギ、トマト、これは自分なりには挑戦したのだが、難しくて完成できなかった。

 農の会では引き続き挑戦を続けている。かなり技術が整理されてきている。様々な野菜を含めて、根守さん渡部さんを中心とした、有機農業塾。そして、大豆の会の太田さんの技術。お茶の会の技術も価値がある。

 農の会の力で、これがまとめられれば、完成という事になる。あと5年小田原に通い。何とかこの本がまとめられるまでかかわることが出来ればと考えている。


 

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