ジャンボタニシの駆除活動

   

ジャンボタニシの駆除を行った。小田原市千代小学校周辺の水路である。思ったほどいなかった。JA西湘が中心になって地元の農家の方々が集まり行った。県の研究員の岡野さんも見えていた。小田原市からも農政課の方が何人か参加されていた。行政がこういうものに参加するのはあまり良いことだとは考えない。行政の仕事の一部のように主張する人もいるが間違えだと思う。千代から永塚あたりの田んぼにはジャンボタニシが増えている。15年前永塚で田んぼをやった時すでに少しだがジャンボタニシは居た。その頃アゾラも流れてきた。アゾラは増やそうと思い少し集めて家の池で管理したのだが、久野の冬の寒さで消えてしまった。ジャンボタニシもアゾラも、当時の有機農業では除草の救世主として評判だったのだ。あの頃のジャンボタニシが増殖をした。一体ジャンボタニシはどんな食害を起こしているのか。それほどの実害が起きているわけではない。去年の田植えのあと、千代小学校周辺の田んぼを歩いてみた。確かにジャンボタニシは沢山いたが、食害された部分は見つけられなかった。少なくとも被害というほどの実害はまだ起きていない。
この問題で騒いでいるのは、農業者というより環境派なのだろう。外来生物と言うと蛇蝎のごとく嫌われる。外来生物を食料として導入して、あまり売れないというので放置したことが始まりである。アメリカザリガニと同じ運命である。こうした外来生物が日本の自然環境を確かに破壊している。そういえばタニシなど先ず見なくなった。シジミなど、今や日本シジミを見ることがない。どこで見るものも朝鮮シジミである。日本の自然環境を純粋に守るなどという事は、すでに不可能になっている。農業の観点から言えば、大苗田植えにすれば簡単に解決する問題だ。ジャンボタニシは硬くなった稲を食害することはない。稚苗で植えたとしても、苗が6葉期になるまで入水口に細かいネットを張り侵入を防ぐ。そして、田んぼは浅水管理だ。大苗でも深水で、葉が水面に接触していると食べるというが、それが収穫量に影響がであるほどのことはない。こまめな管理をしないから食害がおこる。田植えが終われば、稲刈りまでの間、田んぼに行くのはバカ百姓だと、放言した人がいる。その人は田んぼはスリッパで出来るからいいよなぁーと言った。私にしてみるとスズメの食害の方がはるかに問題だ。あえて言えばトキだって、コウノトリだって、合鴨だって滑空して苗を倒して被害は例年ある。こういうことは環境派は言わないよな。田植え直後はこれはひどいという事もあるが、しばらくすれば何処らがやられたのかという事になる。
もちろん、帰化生物を歓迎するわけではない。現状を直視しろと言いたい。ビオトープをやってみればすぐわかる。3,4年で帰化植物の茂みになる。集まる生きものも外来生物である。そういうとんでもない状況を直視するためのビオトープ学習かと言いたくなる。この辺を環境原理主義者はよく考えて欲しい。江戸時代の里山の手入れの考え方を思い出すべきだと思う。手近の自然に対してこまめに手をかけることで、循環させてゆくやり方である。ジャンボタニシは間違っても増えない。ほど良く食料になったはずだ。アメリカザリガニも同様だ。暮らしの方を自然から切り離した人間がゆがんだのだ。里山の自然にしてみれば、外来生物のような人間が困るのだ。環境原理主義者の暮らしを反省してもらいたい。自給自足で暮らしてから、環境を語ってもらいたい。人間の暮らしが里山の循環の輪から外れている。身近な自然に生息する生きものを食べるには汚染が進んでいる。あの汚い水路にいるジャンボタニシは食べる気がしない。食べられないような貝が生息する水で田んぼをやっているという事の方が、問題は大きいのだろう。家庭排水が田んぼの水路に入るというような、とんでもないことが普通に起きている。こんなことこそ行政がやるべき仕事であろう。
ジャンボタニシの駆除には40人近くの人がきていた。見たところでは、環境派はわずか2,3人だった。地域の農業者が参加していた。農の会が農の会が、と言われていたので、私は農の会から来ました。と話したが、どうも今思うと、誰か農の会に連絡をしたのかという事のようだった。こういう時に頑張ってもらわなければという事のようだった。その通りである。それにしても参加者の平均年齢は75位であった。80を超えた方が多かった。40人もの人が集まれるという事も、もう4,5年の間のことだろう。平均年齢が、このまま80歳になるだろう。ジャンボタニシの駆除活動に集まるような農業者は遠からずいなくなる。つまり、ジャンボタニシの問題は田んぼが無くなるとともに終わることになりそうだ。

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