石垣島川平湾、景観条例見直しに待った。
石垣島に外資系のホテルが計画されている。世界一美しいといわれている川平湾である。このホテル建設に伴い、7mだった高さ制限を解除して、7階建てまで立てられるように条例の見直しを行おうと行政は考えて、提案した。地域の住民は裁判まで起こして、現状の維持を訴えていた。そして、審議委員会に於いて、景観条例は維持される答申が出た。それを受けて市も条例の見直しをやめたようだ。以前にも2度ほどこの経過を書いたことがあるが、全てはそこで暮らす人が判断すべきことだと考えている。今回の行政からの提案を受けて、地域の自治会は協議して反対を決めた。住民の意見が通った形になったわけだが、行政と地元住民が話し合うという事はついになかった。この点が良く分からない。地域の住民が行政に説明を受けたい、話し合いを持ちたいと要求しても、対応がなされない。そして仕方なく裁判に持ち込んだ。何故話し合いをしないのかが良く分からない。
高層ホテルを作れるようにしようという背景には、2つの意見があるようだ。一つは津波対策と言われている。石垣島は今から250年前に明和の大津波というものがあり、世界最大の津波を経験している。今後も予測される。それで海岸地帯に高層の建物が必要ではないかという事が行政の考えらしい。2つ目は観光客の増大である。観光客が増えることは、おおよその石垣島の人たちは歓迎している。だからホテル計画全てに反対という訳ではない。そして、川平湾に目を付けた、外資系ホテルは高層ホテルを計画した。ここに行政がどのようにかかわったかはよくわからないのだが。2つの要件から、川平湾に7階建てのホテルが立てられるように条例の変更を進めた。果たしてホテル側からそうした要望が市長にあったのだろうか。まったく唐突に景観条例の変更を行う事になったように見えた。あまり気持ちの良いものではなかった。
これは自衛隊のミサイル基地の誘致に関しても同じである。唐突に受け入れるというか、誘致するという事を市長が発言した。ところがどうも発言はしていないとか。後になって曖昧に言葉を濁してこの大切な問題を正面から議論しないようにしいる。曖昧なまま、自衛隊基地の計画だけが進んでいる。それが国の方針であるから、明確な反対をしない限り、ことは進んでゆく。重要なことは、地域住民の考えであろう。今計画されている場所は、沖縄県で一番高い山である於茂登岳の東斜面である。とても良い農業地域である。世界一美しい農業地域と言ってもよいだろう。私はそう思って絵を描いている。ここに中国に向けてミサイル基地を作ることは、何一つ石垣島にとって良いことはない。国の方針を受け入れれば、補助金等は増えるのかもしれないが、観光には大きなマイナスになるに違いない。まして、石垣島の人々にとって、神聖な場所と言われている。自衛隊基地を作ることには、地域の住民を中心にした議論が必要である。何故議論を避けるのだろうか。
想像では、議論をすれば反対が強いからである。賛成派の説明会には7名が参加したとある。住民投票もやらない。やれば反対が強いからである。確かに、住民の反対の方が強くとも行政がやらなければならない政治判断というものはある。しかし、住民の反対が強いからと言って、何も議論しないままに、どうせ話しても反対だけなのだからと言って、話し合いをしないという事は石垣島らしくないだろう。石垣新空港の建設では、住民と行政が話し合う事で、問題が解決した経験がある。石垣島のミサイル基地は日本全体の安全保障の為である。少なくとも政府はそう考えている。中期防衛計画にそうある。簡単に言えば、石垣島に犠牲に成れという、沖縄防人論である。私はそういう事は絶対にないと考えているが、万が一に中国軍が尖閣諸島に上陸して占拠したとしても、石垣の一般の住民は痛くもかゆくもない。ところが、ミサイル基地が出来て中国軍を攻撃すれば、ミサイル基地が叩かれることになる。住民も巻き添えになるかもしれない。近くに多くの人が住んでいるのだから当然そうなる。その前に尖閣問題を裁判によって司法判断をしてもらえばいいだけのことだ。ミサイル基地を作るより、当然賢明な判断になる。