将棋名人戦の結末

   

将棋名人戦の最終日の一斉対局は、将棋界の一番長い日といわれ、アベマテレビの生中継まである。決着は翌日までかかるのが普通だから、言葉通りの長い1日である。本来A級棋士は10人である。10人で戦い、名人挑戦者を決める。ところが今年は11名がA級に在籍する。三浦9段に対するスマフォ濡れ衣事件の結果である。私の把握した情報では渡辺元竜王が三浦9段と対局した際の報告に基づいて、出場停止が決まったようだ。三浦9段は竜王挑戦者になる可能性があるところ、出場停止処分にされたのだ。渡辺氏は三浦9段と戦いたくないから、怪しいと申告した可能性は否定できない。ともかく、三浦9段はひどい仕打ちにあった。調査委員会が明確に将棋連盟の間違いを指摘し、三浦9段の冤罪は晴れたのだが、怪しいと主張した渡辺元竜王には何ら処分はなかった。

人の名誉にかかわる問題で、怪しいと名指しするようなことは、許されることではない。1000%黒だと主張した棋士まで存在したのだ。こうした愚かな棋士の主張は常にあることだろう。何しろ現役棋士で理事会が構成されているのだ。三浦9段を貶めることが、自分の有利に働く可能性がある体制なのだ。渡辺元竜王はまさにそういう立場の人間で、三浦9段を出場停止にした人物と言わざる得ない側面がある。結果的にはそのような結果になってしまったのだ。自分が戦った時の様子を理事会の聴取に答えている。その聴取が判断に作用したという意味で一番重かった。三浦9段は一人で研究するタイプの人だ。今では当たり前のことだが、コンピュターソフトで将棋を研究してきた。コンピュターが見つけるような手を指す傾向があったのだろう。そこを疑われたわけだ。今ではソフトの方が強いということは当たり前の話で、ソフトで研究しない将棋棋士はいないだろう。

三浦9段は前期名人戦リーグは途中で打ち切りになってしまった。そこで、理事会の裁定で、今期は特別にA級に加わり戦うことになった。そしてついに最終戦で宿敵ともいえる渡辺永世竜王との対戦が組まれた。この対局で渡辺氏は負ければA級陥落である。三浦9段は残留である。誰も、どこでも、何も騒がなかったようだが、私はかたづをのんで見守っていた。この一戦を正義は勝つという戦いであってもらいたいと願った。二人は顔を合わせないで戦っていた。そして見事に、三浦9段が勝利し、渡辺元竜王はB級に陥落した。これでもスマフォ不正をしていたという人間の姿だった。冤罪を生んだ人間がA級にいることが出来るはずがない。渡辺氏は三浦氏に心より謝罪をしない限り、A級に戻ることはできないだろう。人間の心ははそういうものだと考えている。

ソフトが登場した以上将棋は変わらなければならない。名人戦の様に2日制の場合一日目夕方指し手が封じられると、翌日再開まで、15時間空白の時間がある。この間徹底してソフトで研究することが可能である。コンピュターを持ち込んではいけないとなっていたとしても、仲間が研究することは自由だ。その結果を伝えることは現状では可能だ。江戸時代の名人戦では、時間制限がなかったから、そういうことが行われていたのだ。これがオリンピックの競技であれば、どのように管理するのだろうか。2日制をやめる以外にない。不正をやるような人間は数は少ない。しかし、渡辺氏のような安易な行動に出る人間は結構存在する。しかも、渡辺氏自身何が悪かったのという程度の態度である。人を傷つける人間という物はそういうものだ。問題行動までも自覚できない。また問題が起こる前に、規則の変更が必要になっている。

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