石垣の3月は29度

   

石垣島、宮良川

何時も絵を描いている場所である。田んぼが田植え真っ盛りである。一番生命が宿る季節を感じる。肉眼で見ると、遠くの田んぼは水を張られているように見える。どうも田んぼはこのくらいの距離で見るのが一番楽だ。近づいて描くなら、段々畑の方が面白い。形がいろいろあるからだ。ただ四角の田んぼは面白くない。こうした場所は石垣島あには至る所にあって、世界一美しい場所だと思う。まだこういう場所は観光対象にはなっていない。田んぼがあるから美しいということも、観光資源としては意識されていないのかもしれない。田んぼのなくなった本当の景色に何か欠けていると考えるべきだ。サンゴを守るためにも、大切なものが田んぼだ。

石垣島 名蔵湾

石垣島は暑い。風があるから何とかしのげるのだが、29°もあれば確かに暑い。宮良川を描いている。広くなっている橋の上から描いているので、風があるので助かる。何時も宮良川を下流に向かって描いていたのだが、今回は上流に向かって描いている。水が多いいので川の流れの形がおもしろい。田植時だから、ダムからの放流の量が多いいのだろう。ダムも満々と水を溜めている。ダムは自然破壊とする環境運動もあるが、総合的に考えれば、ダムの意義は大きい。つまり昔でいえば、ため池である。

石垣島 平得

牧草地越しの田んぼがなかなか良い。前から見つけていた場所だが、この時期しかかけない。田んぼに水が無ければ、草原の続きにしか見えない。田植え前の水が張られたこの季節だけの美しさだ。水が作り出す風景。水は空にもなる。景色が動き出す。

石垣島 宮良川

今回この竜のように蛇行する宮良川を描いた。上部から流れてくるのだが、上ってゆくように見える。絵の動きとしては、上ってゆく。国宝の那智の滝の絵が下から上に天に向かってゆくと、アンドレマルローが書いている。それは絵だけではなく、那智の滝に行ってみればわかる。滝は天に向かって登っている。だから、竜が天にかけ上るということになる。水は重力で、落ちるというような知識では絵は描けない。このように美しい河岸を持つ川は本土にはもう少ないだろう。

「宮良川の流れ」

この絵はほぼ完成まで進めた。今度の丸善画廊の水彩人展に出せるかもしれない。画面の中の動きと、川が上ってゆく姿を描いている。描いているようだ。草の溢れ出すようなみずみずしい緑。春の小川はドットと行くよ。

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