北方領土は要らない。
プーチン大統領が今日来日して、安倍総理大臣と会談をする。目的は日本とロシアとの平和条約交渉である。日露は第2次大戦後の平和条約を締結していない。敗戦後ソビエトは日本人をシベリアに抑留し、強制労働させた。多くの人が過酷な労働で死亡した。まず、この謝罪をしてもらおうではないか。北方領土の返還と、経済交流特に極東ロシアの開発への日本のかかわりを強めるという事のようだ。ロシアはシリア・アサド政権を支持している。クリミヤ半島では併合が行われた。その結果欧米諸国は経済封鎖を続けている。経済的には状況は良くない。こうした状況下日本は漁夫の利で、出し抜くような形でロシアとの関係を接近させようとしている。北方領土が返されれば、日本人すべてが大喜びするとでも思っているのだろうか。
北方領土が返還されれば、世界3大漁場が日本のものになると鈴木宗男氏は主張していた。日本人が取りたい放題魚をとれば、資源はたちまち枯渇するのが落ちだ。日本が入らなかったから、資源の豊かな海が保たれたのではないか。もし豊かな海がロシアのものであるのなら、それを喜べばいいだけのことだ。ロシアの人々の豊かさに北の漁場がつながるのは良いことだ。日本国の利益の方向からだけ世界を見ることは不幸な関係の始まりになる。ロシアが豊かになれば、それは日本へも恩恵が及ぶ。すべてを独占しようなどと考えることは不幸を呼ぶだけである。日本人は自分たちの努力だけで未来を切り開ける民族である。資源がないことを悲しむ必要はない。北方領土に帰る人が本当にいるのだろうか。知り合いに樺太出身の家族がいる。その人は樺太には2度と帰らないと断言していた。ロシアのことが憎くて、考えたくもないと怒っりまくっていた。
歯舞島は利尻島と同じくらいの面積である。色丹島は隠岐の島と同じくらいとある。似たような北にある、利尻島の現在の人口は2,500人程度とある。人口は年々減少し、多かったころと比べて10分の1に減少している。老齢化率も全国平均よりかなり高い。歯舞諸島が返還されたとしても、財政の面で見れば、利尻島と同じようなものと考えなければならない。歯舞に移り住む人の数がどれほど存在するであろうか。旧島民が戻るという事例は限定的に違いない。領土が返還されることで、日本の財政負担が増加するという事は、明らかなことだ。それは日本全国に存在する消滅の危機に陥っている数知れない諸島部の自治体を考えてみればわかることだ。瀬戸内海にある島であっても似たような、存続の危機にあるのだ。北方領土が還るという事が経済的恩恵に繋がるという事は、間違った予想である。もし観光開発という事なら、可能性がないとは言えないが、それも利尻島の観光客の減少傾向を見るとなかなか困難なことと言える。
北方領土の返還は無理やり行うようなこととは思えない。むしろ、ロシアに所属したままで、日本との交流を深める関税特区の避暑地のリゾートの島にしたらいい。その方が、外国へ行く気分も味わえて、観光客は増加するはずだ。ロシア人は個人的に接するととても良い人が多いい。日露の交流拠点として開発してゆく価値はある。何も日本の領土でなくとも構わないではないか。日本人が観光旅行に行きやすいように、両国で特別の制度を作ればいいだけのことだ。温泉などもあるらしい。食べ物もおいしいものがあるだろう。良い旅館が出来れば、日本人にとって、全く問題はない。財政的にはその方が有利なはずだ。日本資本の旅館も出店するだろう。ロシア人に働いてもらう。外国人労働者が必要になっているような日本の状況である。領土も合理的に考えるべきだ。何でも欲張ればいいと言うものでもない。敗戦でソビエトに取られたという結論で、何の問題もない。