電気柵事故(裸電線事故)

   

電気柵は長年使っている。現に今も養鶏場でも畑でも使っている。電気柵で2名の方が感電死したという事故で、驚いた。私自身何度も確認のために触ってみた。これでイノシシが入らないということが不思議なくらいの、気持ちが悪い程度のものである。何故電気柵で事故が起きたのかわからなかった。報道は電気柵に触れて死亡という表現を使っていた。詳細が分かってきたら、裸電線に人が触れて死んだ事故だ。裸電線を人が近づくところに張っているなどという行為自体が許されるものではない。裸電線を電気柵と呼ぶ報道も、ひどい知識不足だ。電気柵で獣害を防いでいる一人としてははなはだ迷惑なことだ。裸電線を張り巡らせているのでは、事故が起こるのを待っているようなものだ。今回の事故と電気柵を関連付けられては困る。市販の電気柵には、漏電遮断装置が付いている。電気もごく短い時間パルスで流れるようになっている。裸電線を張るのとは全く考え方が違う。初めて電気柵を設置した時には、何度も自分で握ってみて試してみた。気持ち悪いぐらいで、痛いということもない。ところが、イノシシなどには、この気持ちの悪さが応えるらしく近づかなくなる。

もし裸電線を張り巡らせれ漏電を続ければ、電気代だってばかにならない。電気柵はそもそも電気代はほぼかからないものだ。電圧は上げるが、電流は下げる装置もついている。自作出来るようなものではない。電気柵の装置を購入して専門家に頼むのが当たり前のことだ。それほど高いものではない。1万円程度である。電気柵のプラス端子は張り巡らせる線に接続されており、発生したパルス電流は電牧線に伝わる。一方マイナス端子はしっかりと地中にアースする。動物が触れたとき、電線のプラスともう一つマイナス線があったほうが確実である。たとえば、空中でその線に触っても電機は流れない。動物が2本のプラスマイナスの線に触れたとき、気持ちの悪いショックを受け、電気柵に近寄らなくなる。以前、電気柵を危ないから取り除いてほしいと言われて、せっかく設置したのに、取り外したことがある。電気柵が別に危険なものではないということが、その時も理解されなかった。今回のように裸電線を張り巡らしてあるものと同じ扱いを受けることがある。今回の事故でそうした電気柵の誤解がさらに広がることになったのだろう。その責任は報道にある。

裸電線の違法張り巡らし事故と表現すべきだった。私は養鶏をやってきたから、獣害対策には本気で取り組んできた。電気柵はもっとも有効な対策法である。電気柵がなければ今の増えている獣害に対策はないとまで言える。一夜にして、何ヶ月かの耕作の結果をふいにした経験がある。多くの人がそれで耕作をやめることにつながる。今回の感電事故で、電気柵への誤解が広がり、間違いなく耕作放棄地がさらに増えることだろう。電気の知識がいくらかある人で、この電気柵の原理を誤解している人が結構多いい。私はマイナス線と、プラス線を両方張るのが効果が高いと考えている。それは地面が絶縁状態であれば動物に電気が流れないからだ。触れたとしても人体には安全なものでなければ、電気柵とは言えない。人が触れて感電死するようなものと電気柵が考えられるようになれば、大きなダメージだ。

以前も、鳥インフルエンザでは、政府の出した一方的な情報が、鶏を飼うという文化全体の衰退に導いた。鳥インルルエンザの人感染が10年間でどういう経過をしているか、きちっと報道すべきだ。私が当初予測した通り、人人感染は起きていない。これは世界の製薬大企業が、営業のために政府や、国連を動かしているとおもわれる。報道が、科学的な知識を十分に発揮しなければだめだ。安易な報道が社会を変えてゆく。そういえば24時間ぶろというのも、結局なくなった。あれはサルモネラ菌に対する誤解だった。今小学校などで鶏飼育をしているところは少ないだろう。日本鶏は天然記念物であり、日本の江戸時代が作り出した、庶民文化なのだ。今回の事故は電気柵事故ではない。裸電線事故である。その違いを明確にしないと、相当の山の中でも電気柵が使えなくなるだろう。報道は無知というか、無神経さから、さんざ電気柵の誤解を振りまいている責任がある。電気柵が人体には安全なものだということを、伝える義務がある。

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